今年から新たにSUPER GTへ参戦し、GT300クラスでホンダ NSX GT3を走らせる『CARGUY Racing』。Motorz編集部では、2018年のSUPER GT開幕直後のタイミングで、気になるその実態を直撃取材してきました!前編ではSUPER GTへ新規参戦するに至るまでの経緯を、中編では同チームのファクトリーへ訪問し、チーフメカニックの鈴木さんに話を伺う事に成功しました!そして最終回となる後編ではいよいよ、チームの根幹でもある”木村武史”という男に迫ります!

 

画像提供:CARGUY

 

 

クルマ好きになった意外な理由

 

今でこそ、スーパーカーを通勤のアシに使うほどのクルマ好きとして広く知られている木村さんですが、意外にも幼少期は自動車との接点はさほどありませんでした。

クルマ好きによくある「父がクルマ好きで……。」という事もなく、木村さんのお父さんは免許こそ持ってはいるものの、クルマ自体は所有していなかったそうです。

年に一度、恒例行事の海水浴へ行く為に、親戚からクルマを借りてきたことが木村さんにとってのクルマの原体験でした。

「海水浴の前の晩に、明日はクルマに乗れるぞ!って考えたらドキドキしてきて眠れなかったことをよく覚えています(笑)。」

そのため、スーパーカーブームの頃に幼少期を迎えた木村さんでしたが、クルマという存在に憧れることはなかったそうです。

「憧れ……というか”欲しい!”って感じでしたね(笑)。

中学生くらいの頃にたまたま街中でカマロを見かけたんですけど「カッコいいな!欲しいな!」って思ったんですよね。

それで、どうすればあのクルマは買えるんだろうって思って、中古車情報誌を読み漁っていました。

周りの友達はスーパーカー消しゴムとか、カードとか、そういうのを集めたり「カウンタックの最高速度は〜。」みたいにウンチクに詳しくなったりしていたのですが、その頃の私は「どうやって手に入れるのか?」ばかりを考えていましたね。」

カメラ片手にスーパーカーの写真を撮りまくる同級生を横目に、中古車情報誌を読みふけるという少し風変わりな木村少年がそこには居たのです。

 

初めてのマイカー

 

木村さんが18歳で初めて買ったという、Z32型のフェアレディZ。 / ©︎日産自動車

 

大学生になった木村さんは、免許をとってすぐの18歳の時にフェアレディZを購入します。

「中古のZ32を60回ローンを組んでまでして買いました。だけど買って3ヶ月で全損にしちゃったんですよね(笑)。」

その後木村さんは、AE86やGT-Rなどの国産車を乗り継いでいきました。

今でこそスーパーカーのイメージが強い木村さんですが、意外にも輸入車に乗るようになったのは、起業後からだそう。

「サラリーマンをやって、脱サラして自分の会社を立ち上げて、ある程度軌道にのった時にメルセデス・ベンツのSL55AMGを買いました。

けど、1ヶ月もしないですぐに売っちゃいました!(笑)」

この頃から既に、クルマに対する浮気癖の片鱗が垣間見えていたようです。

 

改めて、クルマってなんなんだろう?

 

インタビュー当日は乗ってきていた『マクラーレンP1』を少しだけ見せて頂きました。 / ©︎Motorz

 

「100万の軍勢を前にしたとしても、その中で最速の馬に乗っていれば逃げることが出来るわけじゃないですか?

私にとってのスーパーカーってそういう存在なんです。

普通のクルマよりは高価かもしれないですが、でも良いクルマだから高価であって、その価値に納得しています。

モノの価値とは払ったお金が指標になるわけです。

誰だってあまりにも安すぎるご飯に美味しさは期待しないですし、もしかしたらその1杯の為に1万円払ってでも満足できるラーメンがこの世にはあるかもしれないですよね。

いずれにせよ、それはキチンと対価を支払った人間だけが得られる体験なんです。

『美味しい』も『不味い』も、対価を払ったから得られる体験で、それを体験した人だけしか評価って口にすることは出来ませんよね?

それがモノの価値に対する正しい評価というわけです。

食べ物の話になってしまいましたが、食べログをみんなが参考にするのは正にこういう事ですよね。

だけどクルマもこれと同じで、結局のところクルマの魅力はクルマに対してキチンと対価を支払ったことがある人にしか分からないんだと思います。」

木村さんのお話はとても的確で、取材陣もインタビュー中ずっと頷きっぱなしでした。

ただ「若者のクルマ離れだ!」と叫ばれる現代で、我々はその魅力を一生懸命若い世代に伝えようと努力をしてはいますが、確かに本質的には実際にクルマを買ってみれば説明する必要もなく伝わると思います。

我々がメディアとして、クルマの魅力をキチンと伝えられているかは、正直不安な部分もありますが、ただ1つ断言できる事は、筆者の周りでクルマを所有したことがある若者の中には「クルマはとても不味かったから、もう2度と買わない!」と言っている人は皆無だ、という事です。

 

いつかはF1……?

 

まだまだ走り出したばかりのCARGUY Racingですが、もしかしたらゆくゆくは『カーガイ・ホンダ』でF1デビューも……? / 画像提供:CARGUY

 

今後のカーガイの活動について伺ってみたところ、木村さんの口から意外な言葉が出てきました。

「SUPER GTに出てみて、そのレベルの高さを実感したと同時にすごい楽しんでいる自分に気付いて、これまでカーガイの目標は「ル・マン出場だ!」って言ってきたのですが、F1にも出てみたいな……って少し思うようになりました。

もちろん、私はドライバーとしては厳しいですけど、F1チームのメインスポンサーとしてくらいだったら、これからもっと仕事頑張ればイケるな……!とかちょっと考えてみたら楽しくなっちゃったんですよね。

SUPER GTでホンダさんとの繋がりが出来たという環境の変化も一因だと思いますが、でも”カーガイ・ホンダ”みたいな感じで、ウチのメカニックも連れて行って、オールジャパンのチームでF1の舞台に日の丸を掲げられたら最高じゃないですか?

レーシングドライバーを引退したら、次は船とかやってみたいなって思っていたんですが、F1もいいなー……っていつまでも夢を見ていられるからクルマ好きを辞められないのかもしれないですね!(笑)。」

インタビュー中にまさかのF1宣言!?も飛び出す程のぶっちゃけトークの連発で、濃密な取材をさせて頂く事ができました。

 

まとめ

こちらは木村さんの不動産会社『RUF』の社用車。ナンバープレートの数字にご注目。 / ©︎Motorz

 

最後に木村さんが考える『クルマの魅力』について伺ってみると、

「クルマの魅力……、うーん難しいですね。そうだな……。

例えば、自分の愛する人から電話がかかって来るとしますよね。

今、横浜にいて既に終電は終わっている。大雨が降っていてタクシーも無い。

そんな時にクルマさえあれば助けてあげられる。

私にとってクルマとはそういう存在であり、これがクルマの魅力だと思います。」

クルマがあれば、日常のそんなシチュエーションもロマンチックなエンターテインメントになる。

そのクルマが”スーパーカー”であれば、日常がさらに”非日常的”になっていくという、非常に木村さんらしい回答だと思いました。

 

CARGUY ADA NSX GT3のゼッケンナンバーも”777″、これは木村さんの結婚記念日の数字なのだとか。こちらも、エンターテイナーな木村さんらしいプチエピソードでした!©︎Motorz

 

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