日本のスポーツ施設の収容可能人数は?

 

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:NISSANSTADIUM20080608.JPG

 

続いて、これらの施設の収容可能人数を見ていきます。

有明コロシアム   約1万人

東京ドーム     約4万6000人

日産スタジアム   約7万2000人

新国立競技場    約6万8000人

東京競馬場     約22万5000人

平和島競艇場    約2万人

鈴鹿サーキット   約16万1,000人

富士スピードウェイ 約14万人

こちらはスポーツ施設としての機能性をどれだけ誇っているのか、また施設内の競技場の広さを示す指標となります。

東京ドームの人口密度が1㎡に1人な事に対し、鈴鹿サーキットはおおよそ12.7㎡に1人ということからも、先述の競技場内の広さに違いがあり、さらに富士スピードウェイは16㎡に1人と鈴鹿サーキット以上に観客席のエリアが少ないことが分かります。

また、これはスポーツ以外のイベントを開催するに当たっても重要な指標となるのです。

多くの音楽イベントを開催する東京ドームや日産スタジアムは、都市部からのアクセスの良さに加えて、適した広さを持っているのです。

人気アーティストがイベントを開催するに当たってこれらの施設は頻繁に用いられますが、サーキットは敷地が広大すぎるため他のイベントを催すことに適していないという見方も出来るでしょう。

しかし、サーキットが広大な面積を持つにはこの他に大きな意義があり、この200㎡を超える敷地の中から多くの自動車技術が生み出されてきました。

この中で唯一サーキットより多くの人を収容できるのが、東京都府中市にある東京競馬場です。

この東京競馬場はスポーツ施設として世界第2位の収容人数を誇るのですが、それを超える世界1位の施設は先日日本でも話題になった佐藤琢磨選手がインディ500で優勝を飾った地である、インディアナポリス・モータースピードウェイ。

 

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ims_aerial.jpg

 

レースを開催するに当たって広大な敷地を必要とするサーキットですが、みなさんが普段から乗る市販車や二輪車といった様々な乗り物には、このサーキットでの走行から生み出された技術がたくさん生かされている事も忘れてはいけない事実です。

むしろ、日本にこうしたサーキットがあるからこそ、自動車大国として世界に認められる技術を誇ることが出来たのではないでしょうか。

 

世界の有名スポーツ施設とサーキットを比較すると?

 

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Twickenham_Stadium_-_May_2012.jpg

 

では、ここまでは国内のスポーツ施設とサーキットを比較してきましたが、次に世界的に有名なスポーツ施設と比較してみましょう。

ヤンキース・スタジアム(野球)         約5万2000人

カンプノウ・スタジアム(サッカー)       約9万9000人

ウェンブリー・スタジアム(サッカー)      約9万人

トゥイッケナム・スタジアム(ラグビー)     約8万2000人

メルボルン・クリケット・スタジアム(クリケット)約10万人

ウィンブルドン※センターコート (テニス)   約1万5000人

鈴鹿サーキット(モータースポーツ)       約16万1000人

先ほどご紹介した国内のものと比較すると、世界的に有名な施設の場合はおおよそ10万人程度を収容でき、規模がかなり大きくなっていることが分かります。

しかし、それでもサーキットの収容人数には及ばず、改めて鈴鹿サーキットの規模の大きさを感じられるのではないでしょうか。

また、先述のようにウェンブリースタジアムなどはサッカーに限らず、音楽イベントが頻繁に開催され、多目的施設としての役目を果たしています。

では、ここからは世界のサーキットにも目を向けていきましょう。

 

F1が開催されているサーキットの収容人数は?

 

©Pirelli

 

ここまでは他のスポーツと比較してきましたが、ここからは世界に多く存在する他のサーキットと比較してみます。

下の表は2017年にF1が開催されるサーキットの収容人数を表したものなので、ご覧ください。

アルバートパーク(オーストラリア)           約8万人

上海・インターナショナル・サーキット(中国)      約20万人

バーレーン・インターナショナル・サーキット(バーレーン)約5万人

ソチ・オートドローム(ロシア)             約5万5000人

カタロニア・サーキット(スペイン)           約10万7000人

モンテカルロ市街地コース(モナコ)           約12万人

ジル・ヴィルヌーブ・サーキット(カナダ)        約10万人

バクー市街地コース(アゼルバイジャン)         約3万人

レッドブルリンク(オーストリア)            約4万人

シルバーストーン・サーキット(イギリス)        約15万人

ハンガロリンク(ハンガリー)              約12万人

スパ・フランコルシャン(ベルギー)           約9万人

モンツァ(イタリア)                  約11万5000人

マリーナベイ・ストリート・サーキット(シンガポール)  約11万人

鈴鹿サーキット(日本)                 約16万1000人

サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(アメリカ)      約12万人

エルマノス・ロドリゲス・サーキット(メキシコ)     約12万人

インテルラゴス(ブラジル)               約12万人

ヤス・マリーナ・サーキット(アブダビ)         約5万人

※並び順は2017年のカレンダー順

世界の有名なスポーツ施設と比べても、多くのサーキットが収容能力で他のスポーツを上回っていることがお分かり頂けると思います。

今季は全20戦が開催されますが、そのカレンダーに入っているなかで実に半数以上となる12個のサーキットが10万以上の人を収容することが出来るのです。

F1の場合はこの期間に各地から多くの人が訪れるため、サーキット周辺のホテルや飲食店さらには交通機関など、多くの経済効果がもたらされます。

そのため、2014年より開催に至ったロシアGPや、すでにF1カレンダーでもお馴染みとなった中国やバーレーンなどは、国を挙げて積極的にF1開催を誘致してきました。

 

©Pirelli

 

また、2000年代に入るとF1はヨーロッパ以外の地域でも開催されることが増え、中国、バーレーンに続いてトルコやインドさらには韓国など多くの国で最新鋭の設備を持つサーキットが建設されています。

その後もF1開催地に名乗り出る国は多く、現在でもカレンダーに名を連ねるアブダビやアゼルバイジャンなども、そうして近年開催に至りました。

また、開催が中断されていたアメリカはサーキットを新設。

メキシコは従来のサーキットを改修することでカレンダーに復帰し、それぞれ10万を超える収容能力を誇ったサーキットを擁し、高い評価を受けるGPの一つとなりました。

しかし、ここで注目すべき点は2000年代に入ってから建設された、サーキットの収容能力に大きな差があることです。

アメリカやメキシコ、さらにはシンガポールが10万人を超える収容能力を持つにも関わらず、同じ時期に建設されたアブダビやロシア、アゼルバイジャンはその半分程度しか収容することが出来ません。

 

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そこには、それぞれの国が持つF1を開催する目的が顕著に出ており、商業面を重視する国、F1による国自体のPR効果を狙っている国など、目的は様々です。

近年は、サーキットの収容能力が低く経済効果は他のGPより見込めなくとも、レース中継や国名が報道されることによる事を狙って開催に踏み切った国も多いことが上の表から読み取れます。

イギリスやイタリアなど、F1カレンダーに古くから存在するサーキットは、これに当てはめることは出来ませんが、少なくとも21世紀以降に建設されたサーキットからは、それぞれの国がF1を開催する目的を見て取る事ができるのです。

 

近年は都市部にサーキットを建設するケースも増加

 

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冒頭でも触れたようにサーキットは広大な敷地を必要としますが、近年に注目すると大都市からアクセスの良い場所にサーキットを建設するケースも増えています。

中国GPが開催される上海やオリンピック会場の跡地を利用するソチ、またシンガポールやバクーは市街地コースとして現在も開催されています。

日本の主要サーキットは都市部から離れた郊外にあることがほとんどですが、そういった世界的な流れに沿うように都市部でのレース開催に向け積極的になってきたと言えるでしょう。

なかでも2014年に発足した電気自動車レース、フォーミュラEは全戦がその国を代表する市街地で開催されており、これの誘致に向けて日本でもモータースポーツ推進法案が徐々に進められつつあります。

また、2008年よりF1が開催されているシンガポールはナイトレースを実施し、これがきっかけとなってアクセスの良さや、ついでに観光も出来る事など魅力が広く伝わり商業面でも成功。

 

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また、シンガポールと同じくメルボルンやモントリオールのように都市部で開催されているGPも人気が高く、これには宿泊施設の多さや滞在時の快適性が評価されているという側面もあります。

現在ではファンからの人気の高いGPの一つとしてF1カレンダーの中でも存在感を放っており、これ以降は都市部でのレース開催は有益であるという考え方が広まりつつあります。

 

郊外型サーキットが抱える課題とは?

 

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では、反対に都市部から離れたサーキットはどのような問題を抱えているのでしょうか。

2008年までフランスGPが開催されていたマニクール・サーキットは片田舎に存在していたことから、周辺に娯楽施設や飲食店が少なく関係者からは不評なサーキットの1つでした。

また、関係者だけでなく観戦に行くファンもサーキットを離れると、その周辺にある施設が充実しているかという点が重要となってきます。

その点で郊外に存在するサーキットは収容能力とは別の問題が浮かび上がり、観客の快適性を高めるには街そのものの施設を整備する必要が出てくるのです。

これは郊外にあるサーキットの課題ではありますが、それでも郊外型のサーキットが多くの観客を集めることも多く、山奥に佇むスパ=フランコルシャンで先日開催されたベルギーGPでは、多くのファンがスタンドを埋めることになりました。

 

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この要因としては、ベルギーの隣国オランダ出身のマックス・フェルスタッペンの活躍によるところが大きいのですが、周辺が森に囲まれたサーキットに3日間で25万人を超える人が訪れ、この地域の経済効果はおよそ35億円にも上ったと報じられています。

また、日本GPを開催する鈴鹿市はこのベルギーGPと比べ、サーキット周辺に飲食店なども多く比較的快適に過ごせるサーキットの一つですが首都圏から距離が離れており、立地面での影響は受けやすい部類に入るかもしれません。

そして宿泊施設が少ない事も、集客面を左右する要因となっています。

しかし、開催を中断することが決まった2006年には3日間で36万1000人もの観客が訪れ、昨年は過去最低となりましたがそれでも14万5000人もの観客を集めています。

では、何故これほど多くのファンが郊外のサーキットに足を運ぶのでしょうか?

 

わざわざ都市部から離れたサーキットへ行く価値とは?

 

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アクセスが悪くとも、多くの人が郊外のサーキットに足を運んでいる事は事実です。

それは、なぜでしょう。

例えば、F1の場合は原則として一国で開催出来るGPは一つまでと決まっているので、日本でF1を観戦するならば鈴鹿へ行くしかありません。

また、日本は公道を利用した市街地レースが開催出来ないので、レースを観たければサーキットへ行くしかないというのが主な理由となっています。

しかし、市街地レースを観られるヨーロッパのような地域で暮らしていても、わざわざ郊外のサーキットへ足を運ぶファンも存在します。

それは、世界には多くのサーキットが存在しますが、同じレイアウトのものは世界に二つとして無く、他の場所で同じ走りを観ることは出来ないからなのです。

 

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熱心なファンになると遠く離れた海外から日本を訪れ、鈴鹿サーキットの名物コーナーであるS字の走りを観に来るという人もいる程で、これは世界の中でもその場所でしか観られないものなのです。

また、郊外型サーキットは長い歴史を持っている所が多いのでファンに親しまれており、市街地コースでは見ることの出来ない自然の地形を用いた名物コーナーも存在します。

以前F1がファンへ向けて行ったアンケートではこうした古典的なサーキットが上位にランクインするだけでなく、ドライバーからも高い支持を得るなど、市街地とはまた別の魅力を持っている事が証明されています。

 

まとめ

 

野球やサッカーなどのスタジアムにも特徴があるように、モータースポーツで使用されるサーキットにも多くの特徴が存在します。

サーキットには自然に囲まれた風景が美しい所や、都市部から近く快適性が高い、チャレンジングなコーナーがあるなどといったそれぞれの魅力を持っています。

また、中継では感じられない現地の雰囲気や様々なイベント、さらには音や匂いといったマシンからの迫力を体感出来るというサーキットだからこその楽しみ方も沢山あります。

他のスポーツ施設のように幅広い用途で使用されないこともあり、これまで足を運んだことの無い方もいらっしゃると思いますが、例えレースが開催されていない日でも、その広さを目の当たりにすることでモータースポーツの世界を感じることも出来ると思います。

また、近年建設されたサーキットからはその目的によって、時代の背景やその国が求めている効果などを読み取る事ができ、経済的な面だけでなく、時に国の威信が賭けられている事もある注目すべきスポーツ施設なのです。

 

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