これまでF1では多くのアルコール飲料の広告が見られ、そのブランド名が描かれたマシンがレースを戦ってきました。そのブランドイメージはマシンのカラーリングに大きな影響を与えたり、タバコ広告と同じようにマシンの印象を大きく左右することも珍しくありませんでした。そこで今回はアルコールブランドの広告が描かれたF1マシンたちをピックアップしてご紹介していきたいと思います。

 

©Shunsuke Kawai

現在のF1で見られるアルコール飲料の広告

 

©Pirelli

 

F1チームへのスポンサー活動は、世界中に知名度をアピールできるチャンスとして現在でも多くの企業がF1チームへの支援を行っています。

かつてからF1マシンは走る広告塔とも呼ばれ、年に数億円という金額をチームに支援する一方で、チームはマシンカラーを変更し知名度アップの手助けをするといった、いわば業務提携のような仕組みが見られてきたのです。

そうして多くの業界が知名度を獲得してきましたが、そのなかの一つに当たるのがアルコール業界です。

すでにタバコ業界の広告は禁止されましたが、それに続いてアルコール飲料やエナジードリンクなどの嗜好品に関する広告の規制が話題に上がることも少なくありません。

しかし、現在はアルコール飲料に関しては禁止されていないので、F1マシンやサーキットの看板で見ることが可能となっています。

では、これまでF1マシンに描かれたアルコール飲料のスポンサーにはどのようなものがあったのでしょうか。

 

シューマッハが連覇を達成したB195に見られた幻のカラーリング!?

 

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%8D%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%A9#1995.E5.B9.B4

 

1995年にミハエル・シューマッハとベネトンが二冠を達成したマシンであるB195。

このマシンは1995年シーズンにおいて17戦11勝と素晴らしい戦績を残しており、シューマッハの2連覇と共にベネトンが初めてコンストラクターズタイトルを手にした記念すべきマシンです。

そんなB195にはドイツでビール製造を行うビットブルガーの名が記されていて、このスポンサー活動を経て世界的に知名度を高めることに成功しました。

ベネトンのカラーリングと言えばメインスポンサーであるマイルドセブンの水色というイメージが強いかもしれませんが、ビットブルガーの掲載スペースは黄色く塗られており、マシン全体のカラーバランスに大きく影響を与えています。

この時のチームエースであるシューマッハがドイツ人だった事がスポンサーを行うきっかけとなりましたが、翌年にシューマッハがチームを離れるとスポンサー契約を終了。

そのため、ビットブルガーの黄色い広告スペースが見られたのは、シーズン後半のみという非常に短い期間だけでした。

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ラルースの最終年を彩ったビールメーカー”トゥルテル”

 

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eric_Comas_-_Larrousse_LH94_at_the_1994_British_Grand_Prix_(32418647801).jpg

 

緑のカラーリングが目を引くラルース・LH94も、アルコールブランドのカラーを纏った1台です。

マシンのリアウィングとサイドポンツーンに大きく描かれたトゥルテル(Tourtel)とは、人気のノンアルコールビールの事で、この年ラルースのメインスポンサーを務めた事で知られています。

また、このLH94はラルースが最後に作ったF1マシンであり、フランス人ドライバーのエリック・コマスと国際F3000から昇格を果たしたオリビエ・ベレッタを擁し開幕を迎えました。

しかし、シーズン終盤に差し掛かるとチームの資金難が顕著に表れ、ライバルのペースについて行くことが出来なくなっていきました。

その為、資金持ち込みが可能なドライバーを参戦させるなど、非常に苦しい状況へと追い込まれていったのです。

最終的にレギュラーの2名を含む計6名がこのマシンのステアリングを握り、ラスト3戦では日本人ドライバーの野田英樹がドライブ。

マシンの状態が厳しかったこともあり、野田は残念ながら1度も完走を果たすことが出来ませんでしたが、多くのドライバーが憧れるF1参戦を果たしました。

 

フォースインディアと密接な関係を持つ”キングフィッシャー”

 

©Shunsuke Kawai

 

近年はフォースインディアのマシンに大きなロゴを掲載し、存在感を放っているキングフィッシャーは、インドでビールの国内最大シェアを誇り、グループ傘下に同名のキングフィッシャー航空を持つ大手企業として知られています。

そんなキングフィッシャーが初めてF1のスポンサーとなったのは1996年の事でした。

先ほどご紹介したベネトン・B195の後継車であるB196にその名が刻まれ、すでにF1との関わりは20年以上に渡る長い付き合いを持っています。

満を持してチャンピオンチームへのスポンサー活動を始めた同社でしたが、1996年よりベネトンは人材流出によって低迷期に入り、わずか1年で関係を終了させることになりました。

しかし、この関わりはその後のキングフィッシャーに影響を与えており、同グループが所有する航空会社として2007年にはトヨタのスポンサーを務めることに。

 

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Fisichella_Spain_2009.jpg

 

さらに2008年には同グループの代表であるビジェイ・マリヤがフォースインディアとしてF1に参戦を果たし、それ以降は高い露出度を誇る企業となりました。

現在フォースインディアはスポンサーが増加したこともあり広告スペースは以前より小さくなっていますが、10年以上継続してスポンサー活動を行い、その名をF1に浸透させることに成功。

ちなみにキングフィッシャーが所属するユナイテッド・ブリュワリーズ・グループの会長は、フォースインディアの共同チームオーナーを務めるビジェイ・マリヤであり、こうした関係から彼がチームを所有する限りスポンサー活動は続けられると見られています。

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マクラーレンと13年に渡って契約を結ぶジョニーウォーカー

 

©Shunsuke Kawai

 

ジョニーウォーカーは2005年にマクラーレンへのスポンサー活動を開始してから、すでに12年間に渡ってF1に関わるイギリスのウィスキーブランドです。

2006年にはタバコ広告の規制に伴って、それまでメインスポンサーを務めていたウエストが降板すると、代わってマクラーレンのマシンに大きくジョニーウォーカーのロゴが描かれることになりました。

 

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/McLaren_MP4-21

 

この年よりマクラーレンは従来のカラーリングを大きく変更し、その後2015年まで導入されたメタリックシルバーのカラーリングの原型が誕生しました。

そのメタリックカラーの初代となったMP4-21はシーズンを通して優勝を飾ることこそありませんでしたが、キミ・ライコネンがシーズンを通して3度のポールポジションを獲得。

また、シーズン途中よりレギュラードライバーに昇格したペドロ・デ・ラ・ロサがハンガリーGPで、自身初表彰台を獲得する活躍を見せています。

 

©Shunsuke Kawai

 

これ以降、ジョニーウォーカーは長年に渡ってマクラーレンとの関係を継続すると共に、2017年からはマクラーレンに加えてフォースインディアへのスポンサー活動を開始。

これにより2017年のフォースインディアのリアウィングは前面にジョニーウォーカー、背面にはキングフィッシャーが描かれるという、2つのアルコールブランドが共存する珍しいマシンデザインとなりました。

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現在もF1でお馴染みのマルティニ、初めてスポンサーを務めた

 

©Shunsuke Kawai

 

モータースポーツで幅広くスポンサー活動を行なってきたイタリアのアルコールブランド”マルティニ”。

現在もF1ではウィリアムズのメインスポンサーを務め、人気の高いマルティニストライプが存在感を放っています。

そんな彼らが初めてF1へのスポンサー活動を始めたのは、今から約45年前に遡ります。

F1ではこれまでにウィリアムズ、ブラバム、ロータスなど名門チームと提携したことでも知られていますが、彼らが最初にスポンサーとして契約を結んだのはテクノでした。

テクノは1972年から2年間に渡ってF1に参戦。その時に誕生したマシン”PA123”において、すでにマルティニのロゴとストライプがF1に登場していたのです。

 

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E_(F1)

 

現在でも親しまれている”マルティニストライプ”を纏いF1参戦を開始したテクノでしたが、この年は計7戦に参戦するも一度も完走を果たせないという厳しいシーズンを送りました。

翌年のベルギーGPでなんとか6位入賞を果たしたのですが、再び入賞を果たすことのないままテクノは1973年に撤退。

その後マルティニは積極的に名門チームへのスポンサー活動を選んできましたが、その背景にはこの時に小規模チームがF1で戦う難しさを感じたからなのかもしれません。

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まとめ

 

これまでF1では、アルコールブランドの名が刻まれた多くのマシンがレースを戦ってきました。

クルマの運転に関わるモータースポーツにおいてアルコール飲料の広告を出すなんて不謹慎だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

実際にこれまでも反アルコールを訴える社会団体から、アルコール広告を辞めることを要求されたこともあり、度々この活動が非難の的になることもありました。

しかし、モータースポーツのスポンサーを務めているアルコールブランドが、飲酒運転を肯定している訳では無いのです。

F1の運営を統括するFIA(国際自動車連盟)は、現在アルコールブランドの知名度を高める効果を期待するだけでなく、飲酒運転の撲滅を大きなテーマに掲げています。

そして現在F1の公式パーソナリティを務めるビール製造会社ハイネケンは、「When you drive never drink.」(運転するなら絶対に飲むな。)という看板を各国で掲げ、声高々に飲酒運転撲滅をPRしているのです。

一見するとモータースポーツとお酒はミスマッチな関係のように見えますが、だからこそ両者が手を取り合って街中から危険な運転を排除するというこの取り組みに価値が生まれているのではないでしょうか。

 

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