現在motoGP™で活躍中のマルク・マルケス選手、ホルヘ・ロレンソ選手、そして中上貴晶選手など、多くのトップライダーを輩出し、MotoGP™への登竜門とも言われているCEVレプソルインターナショナル選手権。その第4戦となるカタロニアGPに行って来ました。

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まず、カタロニアサーキットってどこにあるの?

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カタロニアサーキットは、スペインカタルーニャ州バルセロナの北部にある国際サーキットです。

スペインのバルセロナと言えば、カタロニアの建築家アントニ・ガウディの未完作品で観光名所となっている『サグラダ・ファミリア』が有名ですが、そこからクルマで約30分、バルセロナ・エル・プラット国際空港からも約50分ぐらいの距離でした。

カタロニアサーキットってどんなサーキット?

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カタロニアサーキットは、今回取材に行ったCEV(Campeonato de Espana de Velocidad:スペイン選手権)レプソルインターナショナル選手権だけではなく、FIA(国際自動車連盟)が主催する自動車レースの最高峰に位置するF1や、ロードレースの最高峰選手権であるMotoGP™(ロードレース世界選手権)なども開催される格式あるロードコースです。

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また、コースレイアウトが開催レースによって変更されるため、F1開催時は全長4,655m、MotoGP開催時は全長4,727mとなるのですが、今回のCEVレプソルインターナショナル選手権ではMotoGP™と同じ4,727mで、左コーナー6つ、右コーナー8つの合計14コーナーというレイアウトで行われました。

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CEVレプソルインターナショナル選手権カタロニアGP

パドックの様子

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今回の取材では、空港→ホテル→サーキットと全てレンタカーで移動したのですが、その道中でとても印象的だったのが、上の写真のようなロータリー交差点、ラウンドアバウトの存在。

歩行者も多い街中の交差点は、日本の交差点と同様なのですが、スペインではクルマしか通らないような大きな交差点は一方通行でまわる事によって進行方向を変えるラウンドアバウトが主流で、サーキット内の交差点もこの方式が採用されていました。

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そしてパドックに行ってみると、そこにはモーターホームがギッシリ。

日本の全日本ロードレース選手権では、マシンや備品、工具などを運ぶためのトランスポーターとして、チームのカラーリングが施された4トントラックが並ぶのですが、CEVではコンテナ内がカフェやリビングなどのくつろぎ空間となっている各チームのモーターホームが並んでいました。

これは、日本ではスーパーGTなどの大きな4輪レースではお馴染みですが、2輪レースでは中々見られない光景です。

レースWEEKのスケジュール

CEVレプソルインターナショナル選手権カタロニアGPのレースWEEKは、水曜日の搬入から始まりました。

そして木曜日に各クラス40分×3本、金曜日に40分×2本のフリー走行が行われ、土曜日公式予選、日曜日決勝というスケジュール。

決勝レースは2ヒートでの開催でした。

今回注目したのはMoto2・Moto3クラス

CEVレプソルインターナショナル選手権は、日本ではあまり知られていないかもしれませんが、MotoGP™と同じくFIM(国際モーターサイクリズム連盟)格式で、ドルナスポーツが商標管理及び運営を行っているので、ハイクオリティな映像でのyoutubeライブ配信も行われます。

Moto2クラス Race1

Moto2クラス Race2

Moto3クラス Race1

Moto3クラス Race2

また、レースを見て気付いた方もいると思いますが、MotoGP™との共通点は今回のようにサーキットが同じというだけではありません。

注目して欲しいのは、そのマシンのカラーリング。

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例えば、Moto3™クラス Race2の勝者、#96 Manuel PAGLIANI選手のマシンに注目してみます。

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このカラーリングは、現在MotoGP moto3™クラスに参戦中の #33 Enea Bastianini選手 や #48 Lorenzo Dalla Porta選手が所属するLeopard Racingのマシンとそっくりです。

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これは、もちろんLeopard Racingの大ファンで、レプリカマシンに乗っている!!という訳ではありません。

このCEV参戦チームの名前はLeopard JUNIOR。れっきとした、Leopard Racingのジュニアチームなのです。

そういう視点で再度レースを見てみると、MotoGPマシンと同じカラーリングのマシンが他にもたくさん参戦している事が分かると思います。

JUNIOR TEAM ESTRELLA GALICIA0.0 / ©ChikaSakikawa

RED BULL KTM AJO / ©ChikaSakikawa

こうしたMotoGP™参戦チームのジュニアチームが多数参戦している事も、CEVがMotoGP™への登竜門と言われる所以なのです。

中上貴晶に続け!CEVに参戦中の日本人ライダー達

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今季からMotoGP™最高峰クラスにステップアップを果たした中上貴晶選手も、CEVレプソルインターナショナル選手権出身ライダーの1人です。

そして現在も、CEV moto3™クラスに2人の日本人ライダーがシリーズ参戦しています。

そんな、今日本人で一番MotoGP™に近いと言っても過言ではない2人のライダーに、コメントをもらう事ができました。

#32 小椋藍 (おぐら あい) ASIA TALENT TEAM

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2016年 アジア・タレント・カップ 総合2位

2018年 CEVレプソルインターナショナル選手権 moto3™ 現在ランキング8位(第4戦終了時点)

MotoGP™第8戦 オランダGP moto3™ 決勝23位 (ワイルドカード参戦)

Race1・Race2の決勝を終えて(決勝:7位・23位)

今回は木曜日から走行があったんですけど、予選であまり上位に付ける事ができなくて、厳しい追い上げのレースとなりました。

Race1は、レース序盤から中盤にかけて、いい感じで追い上げる事ができて、1回トップにも立てたんですけど、そこからちょっとペースの維持が、自分のメンタル面やタイヤの面でも少し厳しくて・・・。

トップグループに置いて行かれて、7位になってしまいました。

Race2は、木曜日から走っていて気温が高い時の方が周りよりペースが良かったので、戦えるなと思っていて、最終ラップでいい位置に付けて、作戦通りと言えば作戦通りだったんですけど、自分的には予想外の所で他のライダーがインに入ってきてしまって、フロントブレーキを握りすぎて転倒してしましました。

それで、十何位かわからないですけど、再スタートして後ろの方でゴールしてしましました。

でも、いつも予選がダメで決勝も追い上げる事が中々難しいのですが、今回はスリップも上手く使えて、今までにない良いレースが出来たかな?と思います。

シリーズの中で、今回のカタロニアはどんなサーキットですか?

MotoGP™もここで走るので、時期的にも同じぐらいだしタイムの差を見るのにもよく、あまり癖の強いサーキットではないので、ここで速いライダーは年間通して速いんじゃないかな?と思います。

世界を目指すにあたって、このCEVレプソルインターナショナル選手権への参戦を選んだ理由は?

自分が小さい頃はアジアタレントカップしか世界に繋がる道がなくて、その流れでCEVのmoto3™クラスに出させてもらっています。

ここで結果を出せば、MotoGP™のmoto3™クラスに上がるチャンスもるので、今はそこを目指して走っています。

これから世界に出ていきたい日本人ライダーに一言

自分もまだ出れるか分からないですけど、練習でも予選でもレースでもなんでも、とにかく自分の限界で走り続けるという事が、今自分もGPで活躍してた人に言われ続けている事なので、常に自分の限界値で走っていけば、外国人ライダー達に敵わない事はないと思います!!!

小椋藍公式Twitter

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#33 國井勇輝 (くにい ゆうき) ASIA TALENT TEAM

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2016年 アジア・タレント・カップ 総合6位

2018年 CEVレプソルインターナショナル選手権 moto3™ 現在ランキング5位(第4戦終了時点)

Race1・Race2の決勝を終えて(決勝:リタイア・9位)

予選の20番手というのが大きくひびいてしまい、スタートしてから結構ごちゃごちゃの中で前に行けなくて・・・。

Race1は、前のライダーが転倒したりして、それに少し巻き込まれる形になって順位を落とした時に、またさらに後ろのライダーに突っ込まれて転倒してしまいました。

Race2は赤旗が2回も出て、ちょっと難しかったんですけど・・・。

20番手のグリッドから少しずつ修正をかける事ができて、最終的には9番手まで行けました。

ただ、ここのバトルが激しくて、まだまだ自分の弱いところがたくさんあったので、それをもっと克服していかなきゃいけないと感じました。

次のレースに向けて、また日本に帰ってトレーニングしていきたいと思います。

シリーズの中で、今回のカタロニアはどんなサーキットですか?

自分の中では得意なサーキットなんですけど、今回のWEEKを通しては、なかなかタイムを上げられなくて・・・。

ちょっと厳しかったですね。

でも、コースに関しては、自分はとても好きなコースです。

世界を目指すにあたって、このCEVレプソルインターナショナル選手権への参戦を選んだ理由は?

自分が出場していたアジアタレントカップからの流れというのもあるのですが、ここは一番世界グランプリに近い所だと思っているので、もしここで勝てれば世界に通じるので、その第1歩だと思っています。

これから世界に出ていきたい日本人ライダーに一言

自分にとっては、ここに来るまでがすごく辛かったんですよ。

下から上ってくる時のレースが本当につらくて。

勝てなかったり・・・。

でも、ここまで来たら自分の思った事ができるし、楽しいと思えます。

ここは結果が全てで、結果が残らないと来れない場所なので厳しい世界ではありますが、どこまで自分が行けるかというのが楽しみな世界です。

國井勇輝公式Twitter

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まとめ

『REALE AVINTIA ACADEMY』のチームスタッフと。 / ©ChikaSakikawa

世界のトップライダー達を続々と輩出し続けている、CEV REPSOL インターナショナル選手権。

今回その第4戦カタロニアグランプリに行ってみて現地で感じたのは、どのチームも心からレースを楽しんでいるという事でした。

参加者が皆すごくフレンドリーで、初対面の私を快くピットに案内してくれたり、グリッドに立たせてくれたりと、私の方が動揺してしまう程。

そして世界を目指すという高い目標に向かって真剣に取り組んでいるからこそ、ライダー、メカニック、チームスタッフ、全ての人たちがお互いをリスペクトし合い、称え合っている姿を多く見かける事ができました。

Moto2™クラスでは『BULLIT』のチームメンバーに誘われてグリッドへ潜入しちゃいました!よく分からないまま傘を持たされていたら、中継のカメラに映っていたようです……(笑)。

また、CEVレプソルインターナショナル選手権では、ここから多くのライダーがMotoGP™へのワイルドカード参戦にトライしたり、欠場選手の代役に抜擢されたりして翌年のシート獲得を果たしています。

例えば、第7戦 カタロニアグランプリ以降ポンスレーシング(ポンス・HP・40)からのmoto2™参戦が決定したアウグスト・フェルナンデェス選手など、記憶に新しいのではないでしょうか。

今回インタビューに答えてくれた、小椋藍選手も7月1日に行われたMotoGP™ オランダGPのmoto3™クラスに参戦し、23位でチェッカーを受けました。

そんなCEVレプソルインターナショナル選手権は、入場無料!!!LIVE配信も行われています。

是非チェックして、未来のMotoGP™ライダーの成長を見守り、世界に挑戦し続ける若手ライダー達の戦いを知って頂ければ嬉しいです。

次のページでは、CEVレプソルインターナショナル選手権 カタロニアGPの様子を写真でご紹介します。