世界中で人気を誇る日本のオートバイ。高品質、高性能を謳いスクーターからスーパースポーツ、50ccから1000cc以上という豊富なラインナップも人気の秘訣となっています。最初は海外のオートバイを模倣することから始まり、今日まで多くのメーカーが乱立、そして淘汰されてきました。今回は、そんな日本国内仕様のオートバイを1960年代から年代ごとに3台ピックアップしてご紹介したいと思います。

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150のメーカーが存在?

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戦後復興期の日本では、オートバイ産業をビジネスチャンスと見た多くの企業がオートバイ業界に参入しました。

1950年代には大小合わせて約150のメーカーが存在し、吸収合併や倒産を経て現在では4社、いわゆる4大メーカーだけが生き残っています。

姿を消したオートバイのなかには陸王、メグロ、トーハツなど往年の名車も含まれていました。

 

1960年代 4代メーカー時代到来

メグロの「心臓」を搭載 650-W1 1966年

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AF%E3%82%B5%E3%82%AD%E3%83%BBW#/media/File:1967_Kawasaki_W1SS.jpg

第二次世界大戦前から活動していたメグロは、1963年に川崎重工の傘下に収まりました。

W1はメグロK(スタミナ)のエンジンを、650ccにボアアップして搭載しています。

もともとメグロはトライアンフ(イギリスのオートバイ)の部品を制作していたので、650ccバーチカルツインエンジンのノウハウは有していました。

また、初期のW1はメグロ時代の名残で右足シフト・左足ブレーキでしたが、1971年からは北米規制に従い左足シフト・右足ブレーキに変更されています。

当時、650ccは国内最大排気量にあたりビッグバイクとして人気を博しますが、1974年に生産を終えることになります。

 

国産初の公道オフロードバイクDT-1 1968年

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%83%BBDT#/media/File:Yamaha_DT-1_250.jpg

トレールの先駆者であるヤマハDT-1、開発のきっかけはコロラド州デンバーを担当する現地セールスマンからの情報でした。

それは「デンバーではロードスポーツモデルは売れていないのに、公道だけでなく草原や山を自由に走り回るタイプのモデルが人気を集めている。ヤマハでもつくってみたらどうだろうか」というもので、早速開発に乗り出しました。

ベースとなったのがモトクロッサーのYX26、2サイクル2気筒エンジンから単気筒エンジンを搭載したファクトリーマシンでした。

そんなDT-1は日米で爆発的なヒットとなり、その年のグッドデザイン賞も受賞しています。

また余談ではありますが、初期型のDT-1は市販車であるにもかかわらず、ウインカーが装備されていませんでした。

 

初代ナナハン CB750FOUR 1969年

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0CB750FOUR#/media/File:Honda_CB750four_blue.jpg

CB750FOURは日本の量産バイクにおいて何かと「初代」なオートバイ的存在で、その主なポイントが以下の通りです。

・排気量750cc 
・4気筒エンジン 
・4本マフラー 
・ディスクブレーキ 
・最高時速200㎞

このCB750FOURのデビューを機に各メーカーの750cc戦争が勃発します。

しかし皮肉なことに、国内オートバイの排気量の上限に自主規制をもたらしたオートバイでもあるのです。

開発のターゲットはトライアンフでした。

ホンダが当時CB450の次期モデルを模索しているところに、トライアンフが750㏄クラスの開発をしているとの情報をキャッチします。

また、時を同じくして本田宗一郎がスイスへ行った際、警察官が乗っていた白バイが小さな事に驚いたそうです。

その白バイがトライアンフの750ccだったのです。

実際は、乗っていた警察官が大柄だったため白バイが小さく見えたそうですが、「これじゃ日本の感覚でオートバイを作っていたんじゃダメだわいなあ!」と思った宗一郎がホンダのエンジニアたちにハッパをかけ、CB750FOURの形となったそうです。

これは現在のホンダイズムの原点のようなエピソードではないでしょうか。

 

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ゼッツーやカタナなど、数々の名車が登場しますよ!