カワサキZZR1100はデビュー当時、夢の値とされた300km/hの世界に一気に近づき、『世界最速』の称号を獲得した伝説のバイクです。また、ハイスピードバイクの先駆けであり、その後世界最速ツアラーバイクの争いが激化したのも、このZZR1100が登場した事がきっかけでした。CBR1100XXブラックバードやスズキ隼もZZR1100がなければ、登場しなかったかもしれません。そんな、二輪車業界に大きな影響を与えたZZR1100は、いったいどんなバイクだったのでしょうか。

 

カワサキ ZZR1100

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Kawasaki_Ninja_ZX-11

 

 

世界最速の称号を得たモンスターバイク!カワサキZZR1100とは

 


カワサキZZR1100は、1989年東京モーターショーで公開されて1990年に市販化されました。

当時、国内で新車販売できるバイクにオーバーナナハンは解禁されていなかったので、ZZR1100を日本で購入できるのは逆輸入車のみ。

そのため、発売した直後から一気に人気とはなりませんでしたが、多くの雑誌で走行インプレや最高速テストなど行われ、他のバイクとは一線を画す圧倒的な動力性能で一気に話題となり大ヒット。

国内正規販売がなかったにも関わらず、国内に逆輸入されるZZR1100は需要過多となり、乗りたくても手に入らない時期が長く続きました。

また、一部では販売されたZZR1100には、180万円近い価格がついたとされています。

多くのメディアで最高速テストが行われたため、公開されたZZR1100の最高速テストの結果に多少のバラツキがありましたが、それでも280km/hがほとんどで、未知の世界とされた300km/hの世界への到達が間近となり、世界中のチューナーの誰が一番最初に300km/hの壁を超えることができるかというZZR1100のチューニングでも競い合うようになりました。

このように、デビューした1990年は世界中の二輪車市場で注目を独り占めしたバイクがZZR1100であり、世界中で大ヒットとなったのです。

 

どのメーカーにもなかった革新的な技術を多数搭載

 

ZZR1100は、1988~1990年まで生産されたカワサキZX-10の後継モデルです。

ZX-10の997ccエンジンを、ボア2mm拡大して1,052ccまで排気量アップ。

今となっては当たり前であるラムエアダクトが採用され始めたのもこの頃で、ヘッドランプ下のダクトから走行風をエアボックスに直接取り込むシステムを確立。

クラストップレベルとなる147馬力を実現させ、ライバル車であるホンダCBR1000F、スズキGSX-R1100、ヤマハFZR1000と比べても高速ツアラーバイクとして最上級の動力性能を実現しました。

 

1993年にフルモデルチェンジ

 

ZZR1100は1993年にフルモデルチェンジを果たし、1990~1993年までのモデルをC1~C4型とされますが、フルモデルチェンジ以降はD1~D9型とされています。

また、ラムエアダクトは2口になり、エアボックス容量拡大とエアフィルターの面積拡大などが行われました。

最大出力/最大トルクの変化はありませんでしたが、車体サイズを変更。

ブレーキ性能の強化や燃料タンク容量の拡大(21L→24L)、タイヤ幅広化など、様々な変更がなされています。

そしてZZR1100は2001年で生産終了となるも2002年に後継モデルZZR1200を発売、その後2007年に現行モデルとなるZZR1400が発売となりました。

そんなZZR1100は、発売からホンダCBR1100XXブラックバードが登場する1996年までの間、世界最速の市販車とされていましたが、その後ZZR1100を追従する形で、ブラックバードと隼が生み出される事になったのです。

 

ボンネビル最高速チャレンジで時速300キロを達成

 

カワサキZZR1100に搭載される4気筒1052ccは、レースでは該当するレギュレーションのクラスがほとんどなく、サーキットで活躍することは滅多にありませんでした。

一方で、ZZR1100に乗ってドラッグレースに出場するライダーは多数で、ターボやNOSチューンなどかなり過激なチューニングをしているマシンが続出。

1995年に行われたアメリカのボンネビル最高速チャレンジでは、チューナーDr,須田氏のチューニングしたZZR1100が308.48km/hを記録し、ZZR1100で初めて300km/hの壁を超えました。

 

カワサキZZR1100前期(1990年モデル)&後期(1994年モデル)のスペック&性能

 

1990年式 ZZR1100/ZX-11 1994年式 ZZR1100/ZX-11
全長×全幅×全高(mm) 2,165×720×1,210 2,165×730×1,205
軸距(mm) 1,480 1,495
シート高(mm) 780 780
車重(kg) 228 233
エンジン種類 水冷4ストローク直列4気筒DOHC16バルブ 水冷4ストローク直列4気筒DOHC16バルブ
排気量(cc) 1,052 1,052
ボア×ストローク(mm) 76×58 76×58
圧縮比 11.0 11.0
最高出力(kW[PS]/rpm) 108[147]/10,500 108[147]/10,500
最大トルク(N・m[kg・m/rpm]) 109[11.5]/8,500 109[11.5]/8,500
トランスミッション 6速 6速
タイヤ 前:120/70R17
後:170/60R17
前:120/70R17
後:180/55R17

 

1990年式 ZZR1100/ZX-11 1994年式 ZZR1100/ZX-11
0-1/4マイル(約402m) 加速 (秒) 10.1 10.1
0-1/4マイル(約402m)到達時の速度(km/h) 217.3 219.3
最高速度(km/h) 285 288

 

カワサキZZR1100の中古車相場価格

 

ZZR1100の中古車相場は20~100万円ぐらいです。

大ヒットしたバイクだけあって現在も多くタマ数がありますが、長距離ツーリング向けだったため多走行距離車が多く、総走行距離5万キロ以上の車両も少なくありません。

また改造車が多いので、高額な車両の中にはフルチューンやショップのコンプリート改造車も多数。

それ故走行距離が少なくノーマルに近い中古車は少ないので、良質車となれば最低で60万円ぐらいの高額になっています。

 

まとめ

 

カワサキ ZZR1100

Photo by Paul Wordingham

 

ZZR1100はノーマル状態では300km/hに達することができませんでしたが、圧倒的な動力性能により世界中のあらゆるバイクを抑え、最高速ツアラーバイクとしての地位を確固たるものにしています。

ホンダCBR1100XXブラックバードが登場して最速の座は奪われるものの、ZZR1100の登場で二輪車市場の高速ツアラーバイクの性能が一気に向上したのも事実。

高速スポーツツアラーバイクではZZR1100の後継モデルであるZZR1400とスズキ隼が人気を二分し、ZZRシリーズは高速スポーツツアラーバイクを牽引するモデル!

その元祖となるZZR1100は、伝説の名車といえる存在です。

 

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