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プレミアムスモールの先駆け!三菱「i」がこだわった4つのポイントとは?

近頃、着実に販売台数を伸ばしてきている、高品質・高価格な軽自動車。普通車から乗り換えるユーザも増加し続けているこのジャンルで、三菱はいち早く、「i(アイ)」という個性的な車を生み出しました。今回は、思わず「おっ」と声を上げてしまうような、「i」の様々なこだわりを探ってみたいと思います。

Photo by Glenn Waters

三菱i(アイ)のこだわりその1:開発期間

photo by contri

三菱の「i(アイ)」は、2003年にコンセプトカーとしてそのヴェールを脱ぎました。

自動車の開発期間は一般的に、1990年代では30か月から20か月かかったのが、2000年代では15か月程度まで短縮できたと言われています。

そんな中、2001年にコンセプトカーの開発がスタートしたこの車が、販売開始したのはなんと2006年。

実に5年もの歳月を費やしているのです。

なぜこんなにも、この軽自動車の開発に時間をかけたのか。それには企業としての時代背景が深く関係していたのです。

当時、三菱の軽自動車の主力製品といえば、eKワゴン。国内販売の60%以上を軽自動車に頼っていたので、より高い市場価値を生む新たな看板製品を創る必要があったのです。

そこで目を付けたのが、現在隆盛を誇っている「プレミアム」な軽でした。

市場としてまだまだ未成熟であったこのカテゴリーに、新たな車種を投入することを決めたのです。

奇しくもその後、リコール隠し問題や資本提携していたダイムラークライスラー社(現ダイムラー社)との提携解消など、三菱に対して逆風が吹き荒れ続ける事となりました。

だからこそ今「新技術への挑戦」「高品質な製品で信頼回復を」、そして何より「三菱再生」という思いが、開発プロジェクトチームにはあるそうです。

執念ともいえる、三菱のプライドをかけたモノづくり。

その結果、軽自動車としては異様ともいえるコストをかけ、高品質で、そして斬新なエクステリアの「i」が誕生したのです。

そんなこだわりのiの諸元がこちら。

2006年式 i (CBA-HA1W)のスペック※Gグレード

ボディタイプ:軽-RV系
全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1600
ホイールベース(mm):2550
車両重量(kg):900
エンジン型式:3B20
エンジン仕様:直列3気筒DOHC12バルブICターボ
総排気量(cc):659
最高出力:64ps/6000rpm
最大トルク:9.6kg・m(94N・m)/3000rpm
トランスミッション:4AT
駆動方式:MR
中古相場価格:30,000~1,260,000円

 

三菱i(アイ)のこだわりその2:エクステリアデザイン

出典:http://www.larevueautomobile.com/

「i」が発売された当時を思い出してみてください。

タマゴ型のアイコン、そしてそれを切り出したようなボディライン。正面から見ると、ほお袋を膨らませたリスやウサギのようにも見えます。

今まで誰も見たことのないその愛らしい姿は、驚きを持って世の中に受け入れられました。

i Design Concept Movie

発売した2006年には、デザイナー・建築家などが審査員を務めるグッドデザイン賞を受賞。

優れたエクステリアを含めた装備やコンセプトなどが認められた瞬間でした。

また、パッと目に触れる部分だけにこだわった訳ではありません。

特筆すべきは、アンダーカバー。通常、フロント部にアンダーカバーのついている車は多いですが、「i」はなんとアンダー周り全面をフルフラットになるような形状のカバーで覆っています。

これによって、リアに配置されたエンジンの冷却、高速走行安定性、静粛性、低燃費を実現しているのです。

そもそも軽と言えば、アンダーカバーが無いものも多い中、並々ならぬこだわりが見て取れます。

エクステリアのこだわりが生み出す性能はこれだけではありません。

「i」といえば、横から見たときの、軽自動車とは思えないドッシリとしたそのスタイリングも特徴的。

この印象を実現する為に、車体の四隅に配置されたホイールが一役買っています。

出来る限りオーバーハングを短くし、ホイールベースを長くとることによって、走行時の直進安定性を良くし、リアミッドシップの弱点である挙動のピーキーさを無くすという効果を生み出したのです。

スポーツカーのうたい文句のようなこだわりを見せていますが、やはりそのエクステリアは、ただただ「可愛い」これに尽きます。

 

三菱i(アイ)のこだわりその3:ゼロから開発したエンジン

出典:youtube.com

型式:3B20は「i」のために新設計されたエンジン。

アルミブロックを採用し、軽自動車唯一の可変バルブタイミング機構MIVECを搭載。更にI/C付きターボチャージャーと組み合わせたことで、ekスポーツなどに搭載されている3G8型エンジンよりも20%の軽量化を果たしているのです。

MIVECにより、低速域から高いトルクを発生させる為、キビキビとした走りを実現し、ターボと相まって衰えない加速を可能にしています。MIVEC+ターボ…といえば、頭に浮かぶものがありませんか?

そうです!三菱のフラッグシップスポーツ、ランサーエボリューションです。

この方式は、2005年にランサーエボリューション9で初採用され、当時新型ランサーを待ちわびていたユーザーを狂喜させました。そして、なんとその1年後に、軽自動車にも同一コンセプトを取り入れたのです。

また、リアミッドシップのコンセプトを最大限生かすため、徹底した小型化・軽量化を行いました。

そして45度傾斜して搭載することで、低重心化(とスペースの効率化)を行うという、スポーツカー顔負けのこだわりを見せたのです。

3B20への開発陣の情熱はとどまるところを知らず、吸気から燃料系までのパーツを一体化。

そして、エンジンマウントやオイルポンプなどを一体化してタイミングチェーンケースへ…と、モジュール化という設計手法を導入し、ここでも小型化・軽量化を実現しました。

こうして、エクステリアから受ける印象以上に、安定し、かつ軽快な走りを見せる、「i」が誕生したのです。

 

三菱i(アイ)のこだわりその4:運動性能

Photo by RYU-K

並々ならぬ努力と、軽自動車の域を超えるコストをかけたことにより、見た目とは裏腹にやんちゃな走りも可能となった「i」。

良質な車両により実現した、タウンユースでの快適さは当然のこと、ワインディングでも想像を超えたフットワークを披露してくれます。

ミッドシップ特有の、リアを重心とした荷重変化による、ブレーキング時の安定性とコーナリング時の粘り強さ。

ロングホイールベース&低重心から生み出される安定性は、直進時のみならず、コーナリング時にもいかんなく発揮されます。

…とはいえ「軽だし背も高いし、走る車じゃないでしょ?」なんて思う事なかれ。

Motorzで何度も特集を組んできたK4-GPでは、数台の”i”が活躍しています。

アップダウンの激しい富士スピードウェイにて、500km,1000kmという長距離を戦うこのレースは、燃料の使用量も制限されている為、軽さがモノを言うのです。

必然的に旧規格軽自動車(全長3.3m以下 全幅1.4m以下 全高2.0m以下 排気量660cc以下。この為、重量も軽いものが多い。)が選ばれがちですが、「i」という選択をするチームもあるのです。

車重600kg台の旧規格に対し、800kgを優に超える新規格勢。その一角である”i”も車重900kgと、K4-GPの世界では重量級となります。
持ち前のMIVECターボを持ってしても、富士スピードウェイ後半セクションの高低差35mは強敵なのです。

しかしながら、三菱の技術者の魂が込められた「i」は、下りで構成された前半セクションでも苦手な後半セクションでも、安定したコーナリングを武器に互角の戦いを展開し、表彰台に立った実績もあるのです。

もちろんノーマルではなく、レースの為にチューニングが施された車両ではありますが、車両特性の良さが無ければ、そこまで結果を出すことは難しかったのではないでしょうか。

 

まとめ

Photo by Andrew

そんな、実は可愛いだけじゃない「i」ですが、残念ながら2013年に販売を終了しています。

現在は、中古でしか購入できませんが、中古車市場ではまだまだ程度の良い、走行距離の少ないモデルが多く見つかります。

これから徐々に少なくなっていくことは間違いないので、今のうちに一度乗ってみるのもおススメです。

また、中古車はちょっと…という場合は、「i」の電気自動車、「i-MiEV」という選択肢もあります。

こちらは現行車なので、用途が合えば最良の相棒となってくれるかもしれません。

三菱の技術者が全く新しいものを創ろうとして生み出したこだわりの1台。
それは間違いなく、記憶に残る1台となり、今もこれからも、オーナーを、そしてすれ違う人々の目を楽しませることでしょう。

 

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Writer Introduction
RYU-K

30半ばの車好きです。サーキットを車で走ることも好きですが、一番は【どうやったら車に気持ちよく走ってもらえるか】を考えることが好きな気がしています。

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