2018年6月現在、アメ車で唯一『売れる』ブランドと言って良いであろうジープ。日本では三菱がライセンス生産していたこともあり、昔ながらの軍用車両系ジープの知名度が高かったのですが、ブランドとしてのジープの認知度を上げた立役者はクロカン4WDブームに乗った”チェロキー”でした。しかしクロカン4WDの頃には既にチェロキーは2代目の頃。初代SJチェロキーがどんな車だったかは、アメ車ファンで無い限りクルマ好きの間でもあまり知られていないかもしれません。

 

初代ジープ チェロキー(SJ)  / © FCA Japan Ltd. All Rights Reserved.

 

 

ワゴニアの2ドアスポーティ版として登場した初代SJチェロキー

 

初代ジープ チェロキー(SJ)  / © FCA Japan Ltd. All Rights Reserved.

 

日本でもっとも、あるいは唯一売れているアメ車ブランド『ジープ』で代表的な車種の1つ、ジープ・チェロキーの初代モデル『SJ』が誕生したのは1974年のことです。

現在ではFCA(フィアット・クライスラー)の1ブランドとなっている『ジープ』が、完全にクライスラーのものになったのは1987年でしたが、それ以前はAMC(アメリカン・モーターズ)が1970年にカイザー=ジープ・コーポレーションを買収してジープを作っていました。

そこで旧式のウィリス・ジープステーションワゴンに代わり、1963年から作っていた『ワゴニア』もAMCに移りますが、4ドアフルサイズ・ジープだったワゴニアSJ(『SJ』とはフルサイズジープを意味する規格)をベースに2ドア化したのが初代チェロキーSJです。

ちなみに2ドア化の趣旨は『スポーティなステーションワゴン型ジープ』というわけで、日本でいえば5ドアの実用的なハッチバック車をベースに、3ドアのホットハッチを作ったようなものですが、車体のスケールが違うのでどうもピンと来ません。

ともかくアメリカ人としてはこれでスポーティということになったようで、発売時のチェロキーSJのカタログには『SUV(スポーツユーティリティビークル)』の文字が踊っていました。

つまり、現在もクロスオーバーSUVとして大きく意味は変わりながらも続く『SUV』の元祖的モデル(少なくとも、その1つ)でもあるわけです。

 

歴代チェロキー最大のV8エンジンを搭載

 

初代ジープ チェロキー(SJ)  / © FCA Japan Ltd. All Rights Reserved.

 

後に2代目以降は(アメ車としては)コンパクト化、今やクロスオーバーSUV化しているチェロキーですが、初代SJの頃は立派なフルサイズSUVでした。

登場時はまだオイルショックの影響や排ガス規制が厳しくなる以前だったので、AMCが作っていたさまざまなエンジンを搭載し、キャブレターでガソリンを豪快に消費してハイパワーな走りが許された時代です。

従って、エンジンは最小でも4.2リッター直6、最大だと6.6リッターのV8エンジンを搭載しており、これは歴代チェロキーの中でもっとも大排気量のエンジンでした。

また、一部モデルにはプジョーのディーゼルターボも積まれたようですが、ほとんどはV8エンジン搭載だったようで、実際車重2トン以上のフルサイズジープを豪快に走らせようと思えば、大排気量エンジンは不可欠だったはず。

ところが排ガス規制が厳しくなった時代のアメ車の常で年々スペックは寂しいものになっていき、6.6リッターエンジンも1978年限りで廃止され、1983年の生産終了時には著しいパワー不足を指摘されたチェロキーは、ワゴニアともども販売不振に陥っていました。

そうしたことも(その頃はルノー傘下になっていた)AMCのクライスラー買収につながっており、2代目XJでの大幅なサイズダウンで人気を回復することになります。

 

主なスペックと中古車相場

 

初代ジープ チェロキーチーフ(SJ)  / © FCA Japan Ltd. All Rights Reserved.

 

AMC ジープ チェロキー(SJ) 1976年式

全長×全幅×全高(mm):4,735×1,900×1,687

ホイールベース(mm):2,761

車両重量(kg):2,048

エンジン仕様・型式:AMC401-4B 水冷V型8気筒OHV16バルブ

総排気量(cc):6,571.2

最高出力:160kw(218ps)/4,200rpm

最大トルク:433N・m(44.2kgm)/2,800rpm

トランスミッション:3AT

駆動方式:4WD

中古車相場:皆無

 

まとめ

 

初代ジープ チェロキー(SJ)  / © FCA Japan Ltd. All Rights Reserved.

 

全長約4.7m、全幅1,900mmという初代チェロキーSJのボディは、当時のジープ規格だと十分にフルサイズボディだったのですが、現在の5代目チェロキーKLで、ほぼ同サイズとなっています。

今や国産車でも重厚な国際戦略車だと、このくらいのサイズで日本でも売られているので、燃費に目をつぶれば案外チェロキーSJを乗り回すのもオシャレかもしれません。

1980年代後半以降、アメリカの自動車メーカーもいろいろと試行錯誤して『ヨーロッパ車や日本車らしきもの』を売り出しますが、結果的にはアメ車らしい車が一番ということは、現在の日本における『ジープ』ブランドが証明しています。

古い名車のリメイクが相次いでいることもあり、『ジープ』でも最新の安全性能に適合させた上で、チェロキーSJのリメイク版などを発売してみると、案外人気が出るのでは無いでしょうか。

 

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