1981年の発売以来、最高級ラグジュアリークーペとして”トヨタ”ブランドの頂点に立ってきたソアラ。2代目までの国内専用車とは異なり、3代目からはレクサス SCが登場するも、まだ日本では展開されていなかった”レクサス”ブランドに代わり、引き続きトヨタ ソアラとして販売されていました。それは4代目になっても続きますが、ついに日本でのレクサス展開とともに本来の姿、レクサス SCへと改名。同時にソアラの歴史にも終止符が打たれる事になったのです。

 

トヨタ UZZ40 4代目ソアラ / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

 

“レクサス”最高級クーペ・コンバーチブルの日本版として登場した4代目

 

トヨタ UZZ40 4代目ソアラ / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

国内専用車だった2代目までのソアラから一転、トヨタの高級車ブランド”レクサス” の国際戦略モデルとして登場したラグジュアリークーペ、SCを日本仕様にした3代目ソアラは、1991年に発売されました。

しかし、2代目までの日本人好みのデザインから主要市場である北米好みの曲面を多用したデザインになるなど、大幅なキャラクター変化が成された事に加えて、日本でのクーペ需要の失速、バブル崩壊による趣味性の高い高級車需要減退も重なり、国内販売は大苦戦を強いられます。

その結果、2000年までのロングセールとなった3代目ソアラの後継がどうなるかは1990年代後半の関心事となり、1999年に北米で発売されたカムリのクーペおよび4ドアコンバーチブル版、カムリソラーラが後継の本命と噂されたことも。

しかし、日本での”レクサス”ブランド展開までの間、高級ラグジュアリークーペSCを日本でソアラとして存続させるトヨタの方針に揺るぎは無かったようで、2001年4月に2代目SCが4代目ソアラとして発売されました。

当時は、2005年にレクサスの日本展開を控えており、短命となるのは明らかな中での”つなぎ”としてのデビューで、SCのキャラクター変更に合わせて4代目ソアラも過去に無い姿でのデビューとなったのです。

 

電動ルーフを持った4シーター高級クーペ・コンバーチブル

 

トヨタ UZZ40 4代目ソアラ / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

一部メディアで噂された、カムリソラーラ・コンバーチブルを日本でソアラとして発売する説は現実にはなりませんでしたが、いずれにせよ4代目ソアラは東京モーターショーでデビューしたショーカー、レクサス スポーツクーペをベースとしたオープンカー!

それもクローズ時はクーペ、オープン時は全電動格納式メタルトップを持つクーペ・カブリオレで、クローズ時のキャビンは非常に小さいため2シーターにも見えますが、実際には後席を持つ4シーターでした。

もっとも後席は2+2どころではなく、女性や子供などよほど小柄な人しか座れず、乗ってしまえば頭をわずかに出せる程度しか無い極小スペースであり、大衆車ベースの4シーターオープンのような実用性はありません。

これは単に「2シーターだと高額な保険料がかかる。」という北米市場の都合によるもので、とにかく後席さえあれば、人が乗れても乗れなくても、実際には荷物用スペースとなっていても問題は無く、高級クーペの保険料対策という以上の意味は無かったのです。

従って事実上は2シーターラグジュアリークーペと言っても差し支えは無いほどでしたが、それだけに前席は居住性、質感ともにややヘッドスペースが狭いことを除けば、十分快適かつ豪華なものでした。

ただし、後にレクサス SCとして販売する時のために装備面ではSCと差別化されており、高級オーディオやカーナビなどはオプション設定となっています。

また、直6またはV8エンジン搭載のロングノーズ・ショートデッキなアメリカンスポーツだった先代とは異なり、3代目セルシオ(レクサス LS)と同じ4.3リッターV8を搭載するなどスポーツ性よりラグジュアリー性に配慮されており、ミッションも5速ATのみ。

パーキングブレーキもサイドレバーから足踏み式となり、その気になればスープラ譲りのスポーツ性能を発揮できた高性能スポーツ路線からも一旦訣別しています。

そして、トランク容量もミニマムでしたが、ルーフ格納時でもゴルフバック1人分を収納できる程度の容量はありました。

 

モータースポーツでの活躍にも恵まれなかった4代目

 

4代目ソアラには、このレクサス SC430のような華々しい舞台は無縁だった。  / Photo by Takayuki Suzuki

 

4代目ソアラが発売されていた2001年4月から2005年7月までの期間、トヨタのハイパワー車におけるモータースポーツ活動、ことにSUPER GTにおいては2002年に販売終了したA80系スープラによって続けられていました。

それが切り替わったのはレクサス SC430に改名した翌年、2006年からのことで、2014年にRC Fに切り替わるまでの間、活躍は続きましたが、それ以前に4代目ソアラが使われることは無く、販売戦略上もソアラにスポーツイメージは求められていなかったと言えます。

D1グランプリなどドリフト競技でもベースとなるのはSCのみで、中古車の価格が下がってもプライベーターがレースや走行会、ドリフトに持ち込むのを見かけることもありません。

4代目においてソアラのエンブレム、グリフォン(有翼獅子)が羽ばたくことは、ついに無かったのです。

もっとも、V8エンジン搭載で重いソアラをFRとはいえ振り回すのは容易では無く、ATや足踏み式パーキングブレーキをMTやサイドブレーキレバーに換装させるにはそれなりの金額がかかるため、SCをベース車に選ぶユーザーが多いのは無理もありません。

仮にサードパーティ製のスーパーチャージャーキットやサスペンションを組み込み、ソアラのエンブレムをきらめかせながらサーキットを走ればかなり目立ったことでしょう。

 

主要スペックと中古車相場

 

トヨタ UZZ40 4代目ソアラ / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

トヨタ UZZ40 ソアラ 430SCV 2001年式

全長×全幅×全高(mm):4,515×1,825×1,355

ホイールベース(mm):2,620

車両重量(kg):1,730

エンジン仕様・型式:3UZ-FE 水冷V型8気筒DOHC32バルブ

総排気量(cc):4,292

最高出力:280ps/5,600rpm

最大トルク:43.8kgm/3,400rpm

トランスミッション:5AT

駆動方式:FR

中古車相場:34.9万~444.4万円(レクサス SC430は含まず)

 

まとめ

 

トヨタ UZZ40 4代目ソアラ  / © 1998-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

ソアラはそれ自体がブランド化されており、姿形やコンセプトは変わってもソアラへの憧れは変わらない保守層が一定数存在しました。

そうしたユーザーは2005年、レクサスの日本展開と同時にSCへと改名されたソアラの消滅を惜しみ、レクサス SCを購入したとしてもソアラのエンブレム装着を望んだ方もいたと言われています。

もし、4代目ソアラ(2代目レクサス SC)に次期モデルがあったとすれば、トヨタ ハリアー / レクサス RXのように新型が出るまで4代目ソアラをそのままトヨタで販売し、3代目SCが登場した時からレクサス SCと旧型の4代目ソアラを併売する道もあったかもしれません。

もっとも、主要市場の北米でもクーペ需要は急激にSUVに取って代わられつつあり、次期SCは存在しません。

そして何より2005年に日本でレクサスの展開が開始された時、4代目デビューまでLSが販売されず、 ISとGS、それにSCしか売る車が無かったのです。

結果的にトヨタブランドで高級ラグジュアリークーペが求められていなかった以上、4代目でのソアラ消滅は避けられなかったと言えます。

レクサスでさえ2010年にSCの生産・販売を終了した後、2017年に超高級ラグジュアリークーペという形でLCを発売するまで純粋なクーペを復活できなかったことを考えると、トヨタブランドの高級クーペが作られることはもう無いと予想されます。

現在、4代目ソアラは事実上レクサス SC430と同じ車でありながら、中古車市場ではそれなりのタマ数がそこそこ安い価格で購入できるので、「いつかはソアラ。」を夢見た人は、今のうちに乗ってみるのもおススメです。

 

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