新車時代には全く鳴かず飛ばずの販売不振だったのに、中古車市場ではなぜか大人気となる車が時々ありますが、そんな時、自動車メーカー担当者なら「もっと早く買ってよ~!」と愚痴のひとつもこぼしたくなるかもしれません。そんな車の代表作が今回紹介する2代目ホンダ クロスロードです。
問題は何だったのか?なぜか新車時代売れなかった不遇のSUV
2007年2月、ホンダは北米など海外市場からの要請に応じて大型高級化していったCR-Vの後継として、新たな小型クロスオーバーSUVを発売します。
安価なコンパクトカークラスだったはずの車が代を重ねるごとに『成長』していき、気づけば立派で高価なミドルクラス プレミアムカーになってもまだ売れ続けると、初心忘れるべからずとばかりに新型コンパクトカーを作るのはよくある話。
2代目クロスロードが誕生した背景も同様で、全幅こそ1,755mmと5ナンバーサイズを少々はみ出したものの、全長4,285mmは当時4ドアセダンのみとなっていたシビックやロールーフミニバンのストリームより短く、確かにコンパクトなSUVでした。
それでいて3列シート7人乗り、ミニバンとしての使い勝手もあるSUVだったので、いざとなったら7人乗れた方がありがたい日本人にとって、打ってつけの車に見えます。
しかしいざフタを開けると販売台数に大誤算!月販目標3,000台と言ってはみたものの発売3ヶ月後の2007年5月の月販は1,500台ほどで、発売1年2ヶ月後の2008年4月に月販808台を記録して以降、2度と月販1,000台以上に復活することはありませんでした。
要するに全く売れなかった2代目クロスロードは、2010年8月で生産を終了。
その後2011年半ばまで細々と在庫を売って、その歴史を終えてしまいます。
確かに3列シート車としては少々狭く、3列目はいかにも薄くて簡易なエマージェンシート的なものでしたが、その分たためばフラットなラゲッジスペースを生めたので、むしろ人が乗らない時は便利な荷室として重宝される仕様。
しかも1.8 / 2.0リッター双方にFFと4WD車が設定され、1.8リッターFF車の廉価モデルでは200万を切る価格設定です。
現在の視点から見ればそう悪くはないどころか売れない理由が見当たらない車に思えますが、あえて問題を探すならランドローバー ディスカバリーにホンダバッジをつけただけで売っていたレアなSUV、初代クロスロードの名を受け継いだ事くらいしか思いつきません。
なんだこんな車があったのか?と中古車市場で大人気!
しかしその後の市場の動向を見ると、どうもホンダは判断を早まったのかもしれません。
なぜなら、わずか3年半ほどで生産・販売を終了したものの、その後2代目クロスロードは中古車市場で高い評価を受ける人気モデルとなったのです。
トヨタの初代bBなどもそうでしたが、スクエアなボディ形状はスペース効率が高いだけでなくドライバーが車両感覚をつかみやすく、3ナンバー車とはいえドアミラーは小さかったので左右ミラー感覚でなら一般的な5ナンバー車とそう違いはありません。
しかも大型高級SUV化したCR-Vよりオフローダーらしい見かけは、RVブーム期に正統派オフローダーを自社開発できなかったホンダとしては異例のたくましさです。
そのため何のことは無く、「今見れば売れない理由がよくわからない、むしろいい車じゃないか!」と後から理解された、あるいは単に発売するのが少々早すぎて、時代の方が後から追いついただけだとも言えるのではないでしょうか。
主なスペックと中古車相場
ホンダ RT4 クロスロード 20Xi 4WD 2010年式
全長×全幅×全高(mm):4,285×1,755×1,670
ホイールベース(mm):2,700
車両重量(kg):1,530
エンジン仕様・型式:R20A 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量(cc):1,997
最高出力:110kw(150ps)/6,200rpm
最大トルク:190N・m(19.4gm)/4,200rpm
トランスミッション:5AT
駆動方式:4WD
中古車相場:29万~158万円
まとめ
不幸にも新車販売時代に全く売れなかった2代目クロスロードですが、2017年あたりから『3列シートのクロスオーバーSUV』需要が増えているのを見ると、やはり早すぎた存在でした。
東京モーターショーにトヨタが出展した、マツダCX-8などよりよほどコンパクトな3列シートSUV『TJクルーザー』などは、面白いことに2代目クロスロードと寸法やスクエアなボディ形状といったコンセプトが非常に似ています。
これは、いかに中古車市場で人気があるとはいえ販売台数が少なく、タマ数が限られる2代目クロスロードの市場を狙っているようで興味深いところですが、ホンダは3代目クロスロードを作らないのでしょうか?
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