レースと言えば、速さやタイムで順位を競うものがほとんどですが、燃費性能を最大限に活かした上での速さを競うレースが2010年より富士スピードウェイで開催されているのです。その名も”エコカーカップ”。サーキット初心者からレーシングドライバーまで、どんな人でも楽しめるレースの新しい形!エコカーカップを知っていますか?

©富士スピードウェイ

 

Eco Car Cupってどんなレース?

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エコカーカップは富士スピードウェイ主催で2010年にスタートしたハイブリッドカーレースです。

『より安全に・より速く・より低燃費で』というようなマシンの燃費性能と、チームの運転技術や作戦などの総合力を競うレースなのです。

参戦できるのは、プリウスなどのハイブリットカーに加え、ディーゼルや軽自動車などでも低燃費技術が採用されていればOKという幅広さなので、マシンを用意するのも比較的簡単!勝つためには『速さ』と『燃費』をどう両立させるかが重要となるので、初心者でも勝てる可能性があるのも、このレースの魅力となっています。

 

開催カテゴリーと概要

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Enjoy60

サーキット初心者やレース未経験者でも十分安全に走行できるラップライムである”4分45秒(スタート周回は4分00秒)”が最短ラップに設定された、1時間耐久レース。

最低周回数の制限は無く、ピットイン回数は1回以上と規定されていて、これを下回るとペナルティが課せられるのです。

また、給油は禁止(ガス欠になった場合は失格。)で、高速走行が不可能な反面、低速走行による低燃費走行のテクニックが要求されるレースとなっています。

 

Challenge180

最低周回数50周回、ピットイン5回以上で、最短ラップは3分15秒(スタート周回は3分00秒)と規定された3時間耐久レース。

給油はオフィシャルの承認を得れば、ガソリンスタンドでのみ可能で、周回数、燃費、順位、ピットワークの全ての総合力が要求される、かなり奥が深いレースとなっています。

 

共通レギュレーション

2つのカテゴリーに共通して、レースはドライバーとパッセンジャーの最大2人体制でドライブします。そして交代時は、まずピット前に停車し、エンジンを停止します。そして交代後、エンジンを始動しピットアウトしていくのです。

また、ピットロードでの急停止や急発進は禁止で、60km/h以下の走行が義務付けられており、これを超えるとペナルティー対象となります。

そしてEnjoy60・Challenge180の両クラスに同一車両、同一ゼッケンで参加し、総合優勝を手にすると、エコカーカップ王者の証である”Master Of ECO CAR”の称号を与えられるのです。

 

参加資格

◆ドライバーとパッセンジャーは有効な自動車運転免許を保有している事。

◆チーム構成は2人以上で上限なし。

◆同一ドライバーの複数チーム兼任禁止。

 

順位確定のポイントとペナルティ

ポイント表

出典:http://www.japan-racing.jp/fsw/rbook/hv_rule.pdf

 

ペナルティ項目

◆ピットロード速度違反:ピットロードでのスピード違反や危険行為 (10 point)

◆周回数不足:規定周回数に達しないままチェッカーを受ける (10 point/1周につき)

◆ピットイン回数違反:ピットイン回数が規定回数に満たない場合 (10 point/1回につき)

◆ラップタイム超過:規定のラップタイムを切ってしまった場合 (10 point/1回につき)

◆メーターリセット:メーターリセット、オドメーターと走行距離の非合致 (200 point)

◆ガス欠:ガス欠により、車両保管場所に辿り着けなかった場合 (200 point)

◆車両規定違反:規格外車両での参加 (200 point)

 

今回挑戦したのはChallenge180

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2017年2月11日(土)に富士スピードウェイで開催された、エコカーカップ。

速さを競うだけじゃない、初心者からベテランまで楽しめる燃費レースという事で、3時間耐久のChallenge180に、PEUGEOT(プジョー)RCZで参加してきました。

まずは参加受付と各ピットで行われる車両検査をクリアして、ブリーフィングへ。

 

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ここで、当日のコースコンディションの確認やルールの説明、注意事項などの最終確認が行われます。

質問タイムも設けられるので、サーキット走行に慣れていない初心者などでも安心。

 

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ブリーフィングが終わると、Challenge180では20分間の練習走行兼タイムアタック形式の予選が行われるのですが、今回は前日の大雪によりピットロードが凍結していた為、グリッド順の決定は急遽抽選に変更。

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引いたクジの中身は『1番』。ポールポジション獲得です。

 

参戦車両はPeugeot RCZ。

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エコカーカップは、ガソリン・ディーゼル・ハイブリッドの3部門に分かれており、その中でも車種により細かくクラス分けされているので、RCZはガソリン部門のG-2クラスとなります。

ガソリン車のRCZがどうしてエコカーカップに出れるの?と思う方も多いと思いますが、エコカーカップに参戦可能な車種の条件は、『低燃費技術が採用されている事』と『メーカー純正の状態で、メーターパネルに平均燃費とその走行距離が表示できる事』そして、『有効な車検証がある事』。

RCZに搭載されている1.6LのDOHCツインスクロールターボエンジンは、小排気量ターボにより「過給によって熱効率を高め、同じ馬力とトルクを得る上で自然吸気エンジンに比べ、低燃費化を図る」という、れっきとした低燃費技術なのです。

 

エコカーカップの面白さは走るだけじゃない!

比較的安全な速度域で、普段乗っている車に乗って耐久レース体験が出来るという事も、このレースの楽しみの1つだと思います。しかし、楽しみ方はそれだけではありません。

今回チームが用意した役割分担表がこちら。

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Challenge180では、レギュレーションで最低周回数50周回、ピットイン5回以上で最短ラップは3分15秒(スタート周回は3分00秒)と決められています。

その為、ピットイン時に無駄がないように、何ラップ目で誰と交代するかなどを決めておくのも作戦の1つです。

 

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また、超えてはいけない規定の最短ラップである3分15秒に限りなく近いタイムで周回できるよう、だいたいのペース配分を予め考えておき、助手席のパッセンジャーと連携を取りながら、成功や失敗に一喜一憂するのもエコカーカップの醍醐味ではないでしょうか。

ちなみに、富士スピードウェイの本コースを3分15秒以上で周回するのは、車でサーキットを走るのが初めての私でも、中々難しい程余裕のあるタイムで、私がドライバーを務めた10ラップ中2度もラップタイム超過ペナルティを受けてしまいました。

 

まとめ

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車の運転免許さえ持っていれば、サーキット初心者でも安心して参加できるエコカーカップ。

タイムだけで見てみると、普段高速道路を走るような速度でのレースなのですが、ストレートやヘアピン、複合コーナーの300Rなど、公道を走るのとは全く違うテクニックが必要となり、十分レースをしているという臨場感や満足感を得られます。

また参戦可能車種の幅も広く、参戦しているクルマは普段一般道で見かけるモデルがほとんどです。

今回のプジョーRCZのように、調べてみると自分の愛車にも低燃費技術が採用されていた!なんて発見もあるかもしれません。

ドライバーとして走る楽しみだけではなく、プロのレースのような作戦を考えたり、ピットクルーとしてチームをサポートしたり、楽しめる要素は盛りだくさん。

そんな、富士スピードウェイが提唱する、『クルマもドライバーもより安全に参加できるレース』エコカーカップは、毎年2回、冬と夏に開催されています。

次回の開催は2017年7月1日(土)!是非参加してみてはいかがでしょうか。クルマの新しい楽しみ方が見つけられると思います。

 

エコカーカップ公式サイト → http://www.japan-racing.jp/fsw/17/hv.html

 

 

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