カスタムカーと言えば車高を下げるシャコタン(ローダウン)が定番ですが、一方でハイリフト(リフトアップ)というカスタム手法も存在します。車種や用途、モチーフによって選択することになりますが、あなたはどちらが好みですか?
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車高の変化はシャコタンだけでなく、ハイリフトもアリ!
東京オートサロンのようなカスタムカーの祭典に行くと、大抵の車はシャコタン、すなわちサスペンションなどのセッティングで車高を下げるローダウンをカスタムメニューに組み込んでいます。
その一方で、一部車種については車高を上げる「ハイリフト」、一般的にはリフトアップとも呼ばれるカスタムも行われており、広い会場で車高をベタベタに下げた車が多い中では、かなりの存在感を放っていたりします。
実際、公道でも道行く車がノーマルやローダウンされているものが多い中、ハイリフトにカスタムされた車を見かけると「おっ!何だアレは?!」と、注目してしまいがち。
ローダウンと違ってハイリフトは車を選びますが、適応する車種にとってはむしろハイリフトの方が花形なケースもあるのです。
そんなハイリフトカスタムをについて見ていきましょう。
世の中ハイリフトが少なくローダウンが多い理由は?
それでも、少なくとも日本においてはローダウンが主流な理由は、まずその手軽さがあるでしょう。
まだカスタムカーが違法改造車扱いであったり公認取得などハードルが高かった時代においても、車高を下げるだけなら、極端な話サスペンションからスプリングを抜くだけで済みました。
この手法は「アブノミ」(ショックアブソーバーのみ)と言われ、車高は下がるものの当然段差などで衝撃を和らげるものが無く、乗り心地は最悪で車も段差でハネるたびどこに行くかわかりません。
余裕があればコイルスプリング(巻きバネ)をカットしたり、リーフスプリング(板バネ)の枚数を減らしたりといった手法もあり、やがて世のほとんどの車がコイルスプリングを使うようになると、正式に商品としてローダウン用スプリングが登場しました。
これらはいずれも純正ショックアブソーバーのままで可能なため、非常に手軽だったのです。
もちろん「タイヤとフェンダーの隙間が少ない方がカッコイイ」という理由もありましたが、その実現方法が簡単だったのも、シャコタンが多かった理由ではないでしょうか。
手間はかかるものの、強い存在感を放つハイリフト車
一方、ハイリフト車もリーフスプリングが主流の時代にはそれを裏返して装着することで、手軽に車高を上げる手法は存在しました。
また、スバル360のようにトーションバースプリングを使っていれば調整で車高を上げる事も可能で、エアサス、ハイドロサスなど車高調整可能なサスペンションでも簡単にカスタムが可能です。
しかし、現在のように一般的なコイルスプリングを使った車種が増えると、単に長いコイルスプリングを準備すればいいというものではなくなってしましました。
巻き数を増やしただけではショックアブソーバーが縮んだ時に「線管密着」(コイルスプリングが縮み切り、それ以上ストロークできない)を起こします。
また、巻き数を少なく、自由長を伸ばしただけのコイルスプリングでは硬いバネでないと自重に負けて沈んでしまい、さりとて車高を保持できるほど硬いバネだと純正ショックでは揺れを抑える減衰力が不足して、衝撃を感じながら走る車になってしまします。
そのため、本格的にハイリフトを行うためにはショックアブソーバーごと交換が必要なケースが多く、カスタムとしては価格的にハードルが高いのです。
しかし、それゆえ広がったタイヤとフェンダーの隙間から除くショックアブソーバーやスプリングはドレスアップの一部として目をひきますし、道行く車の中でも背が高いというよりボディが高い位置にあるハイリフト車は、独特の雰囲気を放っています。
主に4つに分けられる、ハイリフト車の主用途
こうしたハイリフト車の用途としては、主に4つに分けられます。
そして、それぞれにシャコタンとは違った役割が求められているのです。
オフロード走行競技用
ラリー競技やオフロード走行イベントなどモータースポーツ用から、釣りやキャンプなどアウトドア、それに住んでいる地域性から求められる生活用途まで、オフロード走行用のハイリフト・カスタムは何種類かあります。
モータースポーツ用途でも悪路を高速で走るためラリー競技ではハイリフトが最低限に抑えられる場合もあれば、険しい地形の走破そのものが求められるオフロード走行イベントでは、車高や大径タイヤ、サスペンションストロークが勝負というケースも。
いずれも走行不能にならないことや乗員保護を理由に、頑丈なアンダーガードやロールバーなどが付随してくるのが大きな特徴です。
中でも日野 レンジャーなどダカールラリーのカミオンクラスなどは大迫力で一見の価値あり!
アウトドア・生活用
アウトドア用途や生活用途ではそこまでは求められませんが、地形の険しい用途で無事運行できるよう、最低地上高の確保が配慮されています。
SUVブームの初期には、純正でそうしたグレードを準備するケースもありました。
初代スバル インプレッサ・グラベルEXは純正ハイリフトの典型的な例で、同車は7人乗りミニバンのエクシーガもハイリフト化したエクシーガ・クロスオーバー7でSUV化するなど、純正ハイリフトには熱心です。
最近ですとランドクルーザーやジムニーなど昔ながらのオフローダーのほか、実用性と悪路走破性を両立したハイリフト仕様軽トラのオフローダーも人気です。
ドレスアップ用
SUVやオフローダーを用いたドレスアップ車は、たまたま実用性がある事もありますが、「とにかく目立つための手段」としてのハイリフトがシャコタンと併用されます。
そうした車種で意外性を狙う「外しワザ」としてシャコタン車が存在する一方で、逆にミニバンやセダンなど意外な車がハイリフト化されることも。
意外性を求める場合は、本来舗装路メインの外観をしている車種にオフローダー風の外観を求める場合もあり、前述のような純正もありますが、極端なほどのワイドフェンダーと大径タイヤ、ロングストロークサスでハイリフト化したカスタムハイリフトの方が人気です。
トヨタ ハイラックスやランドクルーザーといったSUVのほか、ミニバンでもSUV的要素の濃い三菱 デリカスペースワゴンや初代マツダ MPVなどもハイリフトのベースとして多用されました。
業務用
警察や消防、インフラ保守など一部業務用車両も、使われる場所の地形に難がある場合や、冠水しても運行を可能にするための最低地上高を稼ぐため、ハイリフト化されるケースもあります。
予算に限りがあり実用本位のため、競技車やドレスアップカーほど派手さはありませんが、「はたらくくるま」好きには、むしろその質実剛健さがたまらないところで、軍用車両などはカスタムのモチーフにもなっています。
まとめ
車高を上げるハイリフトには、シャコタンとはまた違った意味での走行性能の向上、高い実用性、存在感のアピールといった点が魅力です。
都会ではおよそ機能的な部分ではミスマッチに思えますが、それゆえ非常に目立ちますし、着座位置の高さはドライバーにトラックと同じような視界を与えます。
最低地上高の高さが生きるような地形や道路では、水を得た魚のような活躍もできるでしょう。
タワー式駐車場など高さ制限に引っかかるという問題もありますが、あなたの車もハイリフト化で意外な魅力を引き出してみてはいかがでしょうか。
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