Fダクトを初搭載し直線番長となった”MP4-25″

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

続いては2010年に流行した空力装置であるFダクトをご紹介したいと思います。

今季のF1マシンでも見られ、2008年からF1で見られたシャークフィンから派生して作られたこの装置は、マクラーレンが最初に開発し、わずか一年で禁止されることになりました。

2010年に投入されたマクラーレンMP4-25は開幕直後からすば抜けた直線スピードを誇り、その速さにはこのFダクトの効果が大きく、直線で約10km/hの恩恵があると言われていました。

その仕組みはコックピット前方に付けられたダクトの入口から空気を取り込み、コックピットを経由してリアウィングまで通じています。

そしてコックピットにはダクトを塞ぐための穴があり、ドライバーが穴を塞ぐとリアウィングは機能しなくなり、空気抵抗が減ることで直線速度が増すという仕組みになっています。

Fダクトの恩恵は大きかったこともあり、最終的に下位チームを除く全チームが真似ることになりましたが、序盤にこの技術を確立させたマクラーレンはスタートダッシュに成功します。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/

マシンの見た目にも大きな変化を与えたFダクトですが、高速走行時にドライバーが片手で運転する行為が危険だという議論が巻き起こりました。

そこでFIAは2010年限りでFダクトを禁止し、その翌年からはFダクトに代わって直線速度を伸ばすための装置として現在でも使用されるDRS(可変リアウィング)の導入を決定したのです。

ドライバーの左手前方に見える突起がダクトの入り口(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/)

ちなみに余談ではありますがFダクトの名前の由来は諸説あります。

その中でも有力なのが当時マクラーレンのスポンサーだったVodafoneに由来していると言われており、ダクトの入り口の横に”f”の文字があったからそう呼ばれるようになったと言われています。

 

空力の鬼才が生み出した斬新なディフューザー”RB7″

©Red Bull Content Pool

続いてはエンジンと空力パーツの連携が話題となったブロウン(吹き付け)ディフューザーをご紹介します。

2011年のレッドブルが投入したRB7はレッドブルの黄金期を象徴する1台であり、空力の鬼才と呼ばれるエイドリアン・ニューウェイの主導によって開発されたマシンです。

そのマシンに搭載され、革新的な技術だと話題を呼んだのがブロウンディフューザーでした。

マシン後方の空気をスムーズに流すために使われていたディフューザーですが、レッドブルはさらに効果的にダウンフォースを生み出そうとエンジンの排気をディフューザーに当てるという画期的な装置を作り出したのです。

それまでにブラウンGPの2階建て仕様や、さらに遡ればバットマン仕様など多くの工夫が見られましたが、ディフューザーそのものの役割を増やすという考え方は存在しませんでした。

©Red Bull Content Pool

このシステムにおいて最も重要なのはディフューザーの形状以上に、エンジンの排気をコントロールすることにありました。

そのためアクセルを踏んでいる時はもちろん、プログラミングによってマシンが減速している最中にも、エンジンを空吹かしさせ、一定量の排気を生み出していたのです。

ディフューザーの形状は合法だったのでこのシステムは流行するかと思われましたが、FIAはエンジン排気に関する調整に問題があるとして、アクセルを踏んでいない場合の排気量を制限する方向に踏み切りました。

しかし、これはあまりにも突然の決定な上に不公平だとの反発を受け、わずか1戦限りで制限を撤回。

結局は最終戦まで使用が許可されたのですが、その翌年には排気口の取り付け場所が細かく管理され、ブロウンディフューザーはその後見られなくなりました。

 

強すぎてF1のルールを変えてしまった”F2002″

出典:http://formula1.ferrari.com/

最後にご紹介するのはフェラーリの黄金期を象徴するマシン、F2002です。

こちらは技術レギュレーションではなく、F1のレース方式を大きく変えるほどの強い影響力を与えたマシンとなりました。

フェラーリの歴史のなかでも最強マシンとの呼び声も高く、第3戦から投入されるとチームの17戦15勝という輝かしい記録に大きく貢献します。

さらにこのマシンをドライブし王者に輝いたミハエル・シューマッハは、全戦で表彰台を獲得するという前例の無い大記録を打ち立てたのです。

このF2002は、ここまでご紹介してきたマシンたちと大きく異なる点があります。

それはマシンにおける特定のシステムが禁止された訳ではなく、その圧倒的強さによるエンターテイメント性の低下に懸念が集まり、レースの形式に大きな変化を与えたことです。

この当時F1を見ていた方はご存知かもしれませんが、フェラーリが毎戦のように勝利を飾ったためレースを見なくても結果は見えているという意見が続出したのです。

出典:http://formula1.ferrari.com/

そこでFIAはその翌年からF1のレース形式を大きく変更することを決意しました。

ポイントシステムは優勝者のメリットを減らすために1位と2位の差を4点から2点へと変更し、予選方式では波乱を招きやすいワンアタック方式が採用されました。

F1のあり方を根本から変えてしまうこの変更には多くの賛否両論が起こりましたが、ルール変更が行われた翌年のタイトル争いは最終戦まで息を飲む白熱したものとなったのです。

2002年にフェラーリが獲得したポイントは残りの9チームの総獲得ポイントと同点という強さで、技術を禁止するだけではまだ足りないと思わせるほどの速さを持ったモンスターマシンでした。

 

まとめ

F1では毎年のようにマシンや安全性に関わることレギュレーションが変更されていますが、実は様々な技術が禁止されるのは全てが安全性のためではありません。

F1はスポーツだと考える方も多いかと思いますが、それ以前にエンターテイメント性を保つことも重要だという意見も少なくないのです。

FIAはこれまで多くの取り組みを行い、それが時に間違った方向だという批判もありましたが、今年からはF1の運営団体が変わり、さらにエンターテイメント性を重視するという意向を示しています。

今後どのような発展を遂げていくのか楽しみなところですが、また新たなレギュレーションが出来た時には、F1の歴史に影響を与える強力なマシンが戦っているのかもしれません。

 

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