現在もジムカーナなどで大活躍し、数々のクルマ好きを虜にし、ナンバー付きN1仕様とも呼ばれたホンダ・インテグラ・タイプR。今回は特に4ドアのDB8に注目しました。

 

 

タイプR登場以前~ルーツは5ドアファミリーカー

 

インテグラのルーツを探っていくと「クイント・インテグラ」という車に、更に遡れば1980年に登場した「クイント」という車にたどり着きます。

 

 

このクイントという車は、シビックとアコードの中間車種として利便性を追求し5ドアハッチバックのみの設定、ワゴン的な使い方ができる車として登場しました。

名前も5ドアであることから5人組や5重奏を意味する「クインテッド」をもじった、クイントという名称に決定。

しかし、当時の日本では5ドアハッチバックというボディタイプは、3ドアハッチバックほどパーソナル感もなく、バンほど荷物が載せられる訳ではないという中途半端なイメージで、全く人気が出ませんでした。

そこで1985年2月のモデルチェンジした際に3ドア車を先行販売。

5ドア車は約9か月遅れの11月に追加という形でモデルチェンジし、名前も新たに「クイント・インテグラ」となりました。

当時としては珍しく全グレードにDOHCエンジンを搭載し、山下達郎氏の唄うイメージソングと共に爽やかでスポーティーなイメージへと生まれ変わったのです。

 

 

更に1986年10月に4ドアセダンを追加し、バリエーションを拡充。

そして1989年4月のモデルチェンジで5ドアはラインナップから外され、名前も「インテグラ」へと変更されたのでした。

 

 

この代でのトピックは可変バルブタイミング・リフト機構のVTECが初採用されたことで、NAエンジンではクラス最強の160psを発揮。

高性能車の指標でもある「リッターあたり100ps」を、1.6リッターNAでありながら叩き出したことで話題となったのでした。

好景気にも押され、好調なセールスを記録したインテグラは1993年にモデルチェンジを行いますが、グリルレスの顔にプロジェクターランプ四ツ目を埋め込んだ個性的なビジュアルと景気の悪化からセールスは低迷し、テコ入れを図ることになりました。

 

 

特別な存在がお手頃価格で! タイプR登場

 

出典:http://www.automobilemag.com/news/no-filter-the-art-of-the-badge/

 

話は若干戻って1992年、ホンダはNSXのイメージアップと販売のてこ入れの為、軽量化を図り締め上げた足回りを持つ仕様であるタイプRを3年間の期間限定で受注を行い、好評を得ていました。

しかし、あくまでもNSXのスペシャルバージョンという位置付けであった為、イメージアップにはつながっても、販売そのものにはほぼ影響なし。

その一方で先代までの好調な売れ行きから一転して、不人気車種となってしまったインテグラにテコ入れがなされることになり、不評だった顔つきを好評だった先代に近づけるマイナーチェンジを図ると同時に、新グレードの追加が1995年10月に行われたのです。

それがタイプRでした。

 

 

出典:http://hondacars-nozaki.com/

 

生産初期はポートとマニホールドの段付き修正と鏡面加工を職人が手作業で行い、ピストン・コンロッド・クランクという動的部品のバランス取りまで行われているばかりか、ガラスの薄肉化やリアワイパー廃止に制振材の一部省略など、車体の軽量化を図り、ヘリカル式LSDも標準装備。

リアウイングは鈴鹿の130Rでテールが流れないようセッティングされているという内容で、まさに「ナンバー付きN1車両」というべき車でした。

そんなスパルタンな仕様でしたが3ドアクーペ(形式:DC2)だけではなく、なんと4ドア(形式:DB8)も設定されたのです。

 

出典:http://www.carfolio.com/specifications/models/car/?car=242396

 

モータースポーツ用途がメインで使われることが明白なグレードにもかかわらず、4ドアも設定があったことで「家庭をもった男性」にも注目され、隠れた人気車種となりました。

4ドアは流石に競技に使われることはあまりありませんでしたが、サンデーイベント的なジムカーナなどへの参加は多く、隔壁のある3ボックスボディの恩恵でボディ剛性がDC2に比べて高く、3ドアより長いホイールベースのおかげで比較的動きがゆったりしているという側面を持つDB8は、DC2に比べて車両重量が40kg重いというハンデがありながら扱いやすいという評価を得て、意外な戦闘力を示しました。

その後、マイナーチェンジでブレーキローターの大径化とハブ容量アップに伴うスタッドボルトの5穴化と共に、ホイール径を15インチから16インチに拡大。

エンジン関係も4in1のステンレス製等長エキマニの装着やECUの見直し、その他ボディ剛性UPにファイナルギアのローギアード化など大幅に手を入れられた通称「98スペック」と呼ばれる仕様にマイナーチェンジ。

途中、色設定の変更などを挟み、基本的に同じスペックで2001年まで生産されました。

 

 

インテグラ・タイプR(DB8)のスペック

 

全長×全幅×全高(mm):4525×1695×1355
ホイルベース(mm):2620
エンジン:B18C型 直列4気筒DOHC
最大出力:200ps/8000rpm
最大トルク:19.0kgm/6200rpm
トランスミッション:5速マニュアル
駆動方式:FF
新車販売価格:226.8万円~255.6万円
中古車相場:58万円~159.9万円(2017年9月現在)

 

まとめ

 

通称「インテR」と呼ばれるようになったインテグラ・タイプRですが、あまりにも強烈だったせいか「インテグラ=タイプR」となってしまいました。

そして、DC5へのモデルチェンジの際にはグレード整理が行われ、タイプRと若干マイルドなis(後のマイナーチェンジでタイプSに名称変更)という構成になり、更に4ドアも廃止。

タイプR的な4ドアセダンは日本仕様のアコードにもありましたが、こちらは「ユーロR」という名称になっています。

(※欧州仕様のアコードにはタイプRの設定あり)

このようなスパルタンな4ドアセダンは世界でも珍しく、4ドアの落ち着いた感じが好きでスポーツ走行を好むという方にはたまらない車でしょう。

手に入れられる機会があるならば、是非お勧めしたい一台です。

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