「バタ臭い軽トラを、仕事にも遊びにもかっこよく走らせる」
広島・宮島の対岸で大型トラックの架装を手がけるビルダーが、軽トラに本気を出したらどうなるのか。その答えが、今回初登場となったグラスホッパーの4台だった。

だが実物を前にすると、それは単なるドレスアップではないとすぐに分かる。大型トラックで培った設計技術を、そのまま軽トラへ落とし込んだ本気のプロダクトだった。
目次
メカニック仕様:11個の引き出しを積んだ移動キャビネット
最初の一台は、スラントバックキャノピーを備えたメカニック仕様。

後方へ約12度傾斜したフォルムは、従来の軽トラの箱型イメージを払拭し、まるでコンパクトハッチバックのようなシルエットを描く。FRPモノコック構造を採用し、強度と軽量化を両立させている。

フロントにはブルバー。宮島の鳥居をモチーフにした意匠が盛り込まれ、チンスポイラー仕様も選択可能だ。オーバーフェンダーや縞板の処理まで抜かりはない。

だが本質は荷台内部にある。サイドを開けると、そこには合計11個の引き出し。高価な工具を安全に収納できるロック機構付きで、まるでレース用メカニックキャビネットをそのまま車両化したかのようだ。
さらに室内からもアクセスできる設計となっており、車中泊中でも外に出ることなく荷物を取り出せる。

これは収納力の向上ではない。「拠点を積んで走る」という再定義である。
キャンパー仕様:軽トラに宿る居住空間
同じ構造をベースにしながら、用途を変えたのがキャンパー仕様だ。

荷台には約1800mmのベッドスペースを確保。シート裏まで活用すれば1900mm近い長さになる。後方には全長1900mmの大型引き出しを備え、釣り竿やスキー板といった長尺物も収納可能だ。

特筆すべきはサイドに展開するキッチンユニット。引き出すとシンクと2口コンロが現れ、センサー式水栓やソフトクローズ機構付き収納まで備える。住宅設備さながらの仕様だが、走行中の安全性を考慮した合理設計でもある。

あおりはそのままテーブルに変わり、270度展開のオーニングも装備可能。軽トラが「荷物を運ぶ車」から「生活を運ぶ車」へと変わる瞬間だ。

「ドッゴ」:愛犬と移動するための最適解
三台目は、ペットオーナー向けに特化した“ドッゴ仕様”。

オレンジのボディに肉球デカール。縞板はクッション性のある素材へ変更され、犬の足に優しい仕上げだ。

引き出し部分には犬用スロープを装備。耐水性があり滑りにくい素材で、女性でも片手で展開できる軽量設計となっている。さらにペットカートをワンタッチで固定できるアタッチメントを搭載し、急ブレーキ時の安全性にも配慮されている。

車内にはケージスペースも確保され、2人と複数の愛犬での車中泊も可能。宿泊施設に制約があっても、移動そのものが宿になるという発想だ。
軽トラがペットフレンドリーなモビリティへ進化した例といえる。
「モトポッド」バイクを積むための電動デッキ
最後の一台は屋根を持たない「モトポッド」。

ロールバーのシルエットは他モデルと共通しつつ、荷台中央には電動ウインチ式のスライドデッキを搭載する。リモコン操作でレーシングバイクを昇降でき、女性ライダーでも単独で積載が可能だ。

用途はバイクに限らない。溶接機やコンプレッサーなど重量機材の積み下ろしにも対応する汎用設計となっている。肉体労働を構造で解決するという、トラックビルダーらしい合理性が光る。
軽トラというキャンバス

ベースは新車の軽トラック。架装を施したフルコンプリートでおよそ300万円前後、オプション込みで400万円程度が目安となる。
価格だけを見れば軽自動車としては高額に映る。しかしこれは単なる移動手段ではない。用途を設計できるプラットフォームだ。
3D CADによる設計、国内生産、実用性と遊び心の両立。その背景を知れば、価格は“装備”ではなく“思想”の対価に近い。
まとめ
グラスホッパーが提示した4台は、軽トラの可能性を横方向に広げた。

工具を積む拠点にも、生活を運ぶ住居にも、愛犬との旅の基地にも、バイクを支えるピットにもなる。小さな車体は変わらない。だが、その中に詰め込める選択肢は驚くほど大きい。
軽トラは用途で選ぶ車ではなく、用途を創るためのキャンバス。
そう考えた瞬間、このカテゴリーはまったく別の景色を見せ始める。
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https://www.truck-body.jp/grasshopper/GRASSHOPPER(グラスホッパー)とは?
用途を限定しない“拡張型”カスタム軽トラック。
走る、積む、働く、遊ぶ、魅せる。
すべてを一台に。キャンプ仕様、ペット仕様、メカニック仕様、バイク積載仕様など、
ライフスタイルに合わせて進化するプラットフォームです。デザイン・設計・開発・製造は、トラック架装を専門とする共立工業株式会社。
長年培った架装技術と実績をもとに、一台一台を製作しています。