1998年に販売を終えたスバル ドミンゴの市場は他の軽自動車メーカーにとっても興味津々だったようで、軽自動車が新規格へ移行すると、軽1BOX車をベースに3列シートミニバン化したモデルが続々登場しました。スズキが当初エブリイ+(プラス)の名で販売していたエブリイランディもそんな1台です。

 

スズキ エブリイランディ/ 出典:https://www.productioncars.com/gallery.php?car=17279&make=Suzuki&model=Every

 

ドミンゴ廃止とともに鳴り響く『軽1BOXベースミニバン戦国時代』の号砲

 

スズキ エブリイ+(プラス) /出典:https://gazoo.com/catalog/maker/SUZUKI/EVERY_PLUS/199906/5502395/

 

軽1BOX車というのは動力性能や重心の高さをあまり気にしない人にとっては非常に夢のある車で、ラゲッジにオモチャ箱のように物を積むこともできれば、車中泊にもうってつけな広さがあります。

そして、ラゲッジをもうちょっと後ろに延長してそこに3列目シートを設置すれば、簡単に3列シートミニバン化できるのでは?と最初に実践したのは1983年、サンバートライをベースに『ドミンゴ』を発売したスバルでした。

何しろリッターカークラスの3列シート1BOXミニバンなど、800ccのトヨタ ミニエースコーチ(1968~1975年)販売終了以来8年ぶりだったのでドミンゴはソコソコに人気が出ましたが、2度のモデルチェンジを経て15年ほど販売したところで、あえなく生産終了。

すると他の軽自動車メーカーも実は横目でドミンゴをチラチラ見ていたのか、新規格以降しばらくすると、ドミンゴ廃止後の穴埋め競争とばかりに各社それぞれ軽1BOXベースの3列シートミニバンを発売し始めたのです。

  • スズキ エブリイ+(プラス):1999年6月発売。エブリイワゴンをベースにフロント延長、1.3リッターエンジン搭載。後にエブリイランディへ改名。
  • 三菱 タウンボックス:1999年6月発売。タウンボックスをベースにバンパーとフェンダーを大型化、1.1リッターエンジン搭載。
  • ダイハツ アトレー7:2000年7月発売。アトレーワゴンをベースにリアオーバーハング延長、1.3リッターエンジン搭載

面白かったのは同じ軽1BOXベースミニバンでも手法が三者三様異だったことですが、後にエブリイランディと改名するエブリィ+(プラス)は、早くデビューしたにも関わらずタウンボックスワイドより本格的な作りでした。

 

高さ方向のゆとりは随一だったエブリィランディ

 

スズキ エブリイランディ / © TOYOTA MOTOR CORPORATION.All Rights Reserved.

 

エブリイ+はタウンボックスワイドやアトレー7のようにフロントバンパーを大型化せず、フロントノーズをエブリイワゴンより延長することで前面衝突安全基準をクリアしています。

そのためフロントマスクはライバルよりスッキリしたクリーンな形態だったのが外観上の特徴でしたが、代わりにリアセクションはエブリイワゴンそのままで、ラゲッジスペースに3列目シートが追加されていました。

3列シートの追加方法が同じなのはタウンボックスワイドでしたが、こちらは補助席のような小さい左右跳ね上げ式シートが2脚あるだけの6人乗りなのに対し、エブリイ+は室内長が3台中もっとも短いながらも実用的な3人がけ3列目シートを備えています。

その分2列目シートの足元が若干狭いようですが、ともかく狭いスペースにアトレー7同様の7人乗り仕様を実現していましたが、やはりスペースの狭さは気になりました。

そのため2001年5月に、4速AT(MT車は無かった)のシフトレバーをフロアシフトからインパネシフトへ変更して足元スペースを広げ、大型メッキグリルを採用するなど内外装を改めたマイナーチェンジを機に改名したのが『エブリイランディ』で、運転席と助手席のサイドウォークスルーを可能にしたり、電動オートステップを設定して乗降性を改善するなど改良されており、車高もエブリイ+から15mmほどダウンした仕様となっています。

そんなエブリイ+/エブリイランディで特徴的だったのは全高1,350mmと、ライバル(タウンボックス:1,225mm、アトレー7:ハイルーフ車でも1,265mm)よりもだいぶ余裕があったこと。

全高などアトレー7ハイルーフとほとんど変わらないのに90mm近いヘッドスペースの余裕は、前後方向の余裕こそ少ないものの、ライバルへの大きなアドバンテージでした。

 

主なスペックと中古車相場

 

スズキ エブリイランディ / 出典:https://www.favcars.com/pictures-suzuki-every-landy-2001-05-368570

 

スズキ DA32W エブリイランディ XL 2000年式

全長×全幅×全高(mm):3,710×1,505×1,900

ホイールベース(mm):2,350

車両重量(kg):1,040

エンジン仕様・型式:G13B 水冷直列4気筒SOHC16バルブ

総排気量(cc):1,298

最高出力:63kw(86ps)/6,000rpm

最大トルク:115N・m(11.7gm)/3,000rpm

トランスミッション:4AT

駆動方式:FR

中古車相場:19万~58万円

 

まとめ

 

スズキ エブリイランディ / © TOYOTA MOTOR CORPORATION.All Rights Reserved.

 

一時は非常に盛り上がるかに見えた『軽1BOXベースミニバン戦国時代』ですが、各社とも割に合う販売台数はなかなか得られなかったようです。

一応一番売れて目立ったのはダイハツ アトレー7とトヨタOEM版のスパーキーだったものの、後継車も無く廃止。

エブリイランディは細々ながらも最後まで販売を続けていましたが、2005年8月でやはり廃止されてしまいました。

 

スズキ APV / 出典:https://www.favcars.com/suzuki-apv-arena-2007-photos-368455-800×600.htm

 

なお、スズキはその後、エブリイランディに日産 セレナの着ぐるみを着せたような1BOX商用バン/乗用ミニバン『APV』を、トラックバン『メガキャリイ』ともどもインドネシアで生産して世界各国へ輸出していましたが、日本では残念ながら輸入無し。

もし、日産からセレナのOEM供給を受けていなければ、この『APV』がランディとしてエブリイランディの後継になっていたかもしれません。

 

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