トヨタのフラグシップSUV、ランドクルーザーが世界販売台数1,000万台を越えました。全世界のユーザーから絶大なる信頼を得て、陸の王者と呼ばれるほど。そこで今回は、歴代ランドクルーザーを振り返ってみました。

© 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

68年の歳月をかけランクル累計販売台数1,000万台突破!

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ランドクルーザー(ランクル)は、今年8月末で販売台数1,001.5万台となり、初代モデルからの約68年間で累計販売数1,000万台突破しました。

世界で最も販売されたクルマであるカローラが、16年間で1,000万台に達成しているので、ランクルはその4倍以上の歳月をかけての達成です。

しかしランクルは、数十万kmの走行距離に達しても壊れない丈夫さをもち、多くのユーザーが数十年単位で乗り続けています。

また、中古車では高い人気を誇り、何代かのオーナーに渡って乗られるため、古くなったモデルも値落ちしにくいモデルです。

そのため、世界中で古いランクルが現役で稼働しており、68年経っても未だにランクルユーザーが世界中でどんどん増えています。

ランドクルーザーとは

2015 “200”系 マイナーチェンジ / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

ランクルは1951年から生産されている大型クロスカントリー車で、レクサスブランドから販売されるLXやGXもランクルの姉妹車です。

また、ひとつの車名で継続生産されている日本製のクルマの中で、65年を超えるモデルはランクルのみで、日本車では最も長い歴史をもちます。

他メーカーのSUVやクロカンモデルと比較すれば、絶対的な品質、耐久性、信頼性をもち、ランクルに対する世界中のユーザーの信頼性が厚い事が特徴です。

世界中の人々の移動や運送を支え、特にに発展途上国で目覚ましい活躍を見せています。

2018年の世界販売数でみれば、日本が3万台に対し、中近東で13.2万台、欧州で5.4万台、オセアニアで4.6万台と、国内販売より海外販売のほうが圧倒的に多いグローバルカーです。

ランドクルーザー歴代モデル

トヨタジープBJシリーズ[1951年]

1951 “BJ”型 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

ランクルの元祖は1951年の警察予備隊(現:陸上自衛隊)向けに開発された、BJ型です。

このとき、ウィリス ジープのライセンス生産により三菱 ジープが登場し、民生用のトヨタ ジープに転換されて1953年に量産開始。

ジープはオーバーランド社の商標だったため、モデル名を『ランドクルーザー』に変更しました。

20シリーズ[1955年]

1955 “20”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

2代目モデルの20系は、1955年11月に発売され、BJ系からさらに民間向けの外観になりました。

また、20系から北米輸出が本格的に開始されます

40シリーズ[1960年]

1960 “40”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

40系は1960年8月に発売され、ソフトトップ、2ドアバン、4ドアバン、ピックアップ、消防車などさまざまなモデルが設定されました。

また、FJクルーザーのデザインモチーフにされたのも40系です。

このモデルは24年間にわたり生産され、40系からランクルが世界中で信頼されるモデルになっていきました

55シリーズ[1967年]

1967 “55”型 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

55系は、それまでヘビーデューティーで設計されたものを、ランクル初のステーションワゴンにしたモデルです。

居住性を向上させたほか、丸目のユニークなデザインとオシャレなカラーリングで街乗り車両としての適性をアップ。

旧型ランクルの愛好家間では、今なお高い人気を誇っています。

60シリーズ[1980年]

1980 “60”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

60系は海外向けがステーションワゴン、国内向けはバン(商用車)として発売。

ドライバーの運転姿勢をあげるために、それまでの前席のベンチシートからセパレートタイプのシートへ変更され、乗車定員は5名設定となりました。

エアコンやパワステ、ファブリックシートなどの装備の充実や、デフロックやオートマミッションなどの操作のしやすさも向上させて、多くのユーザーから受け入れられるモデルへと進化を遂げています。

70シリーズ(バン)[1984年]

1984 “70”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

70系は40系の後継モデルとして登場した、ヘビーデューティー系モデルです。

40系が24年間生産されたロングセラーモデルだったため、70系ではスタイルの一新、快適性・操作性・使用性にわたり大幅な改善が成されました。

ボディタイプは幌タイプとバンタイプ、FRPトップ車が設定され、ホイールベースは2,310mmから3,180mmまでの範囲で合計5種類のホイールベース長が用意されています。

80シリーズ[1989年]

1989 “80”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

80系は60系の後継モデルになるステーションワゴン系のため、5人乗りから8人乗り仕様までが設定されました。

北米や豪州を中心とした海外市場の商品力を高めるために、60系よりボディを一回り大きくし、レクサスブランドから発売された初代LXは80系が初めてです。

70プラドシリーズ[1990年]

1990 プラド “70”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

1990年に70系のワゴンモデルは『プラド』のサブネームが付けられ、ランクル70系から分離されました。

プラドとはポルトガル語で『平原』を意味します。

90プラドシリーズ[1996年]

1996 プラド “90”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

2代目となったプラド90系は、乗用車としての質感や乗り心地を向上させたクロスカントリー4WDへとなり、この世代からエンジン、ドライブトレインのみならず、フレームとサスペンションもタコマ/ハイラックスサーフと共用になります。

また、3ドアのショートホイールベースは、ヘッドライトなどフロント回りのデザインをスポーティにし、一方でロングホイールベースは力強い印象にすることで両車の個性を分けました。

100シリーズ[1998年]

1998 “100”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

80系の後継モデルとして100系が登場し、レクサスブランドからも販売されたことで一層高級感を向上し、富裕層向けのクルマへとなっていきます。

また、セルシオに搭載された2UZ-FE型4.6リッターV型8気筒エンジンを搭載し、より力強いパワー特性へと進化していきました。

120プラドシリーズ・[2002年]

2002 プラド “120”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

90系プラドの後継モデルとなる3代目120系プラドは、新設計の高剛性フレームを搭載して操作性、走行安定性、静粛性の向上を実現。

センターデフに新開発のトリセンLSDを採用したことで、オフロードや悪路での走破性向上も果たしています。

200シリーズ[2007年]

2007 “200”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

200系はランクルの現行モデルとなり、2007年9月発売からこれまで2度のマイナーチェンジと4度の一部改良が行われています。

2009年の一部改良では、それまで搭載してた2UZ-FE型をレクサスLS460に搭載される新型エンジン1UR型へ換装し、2015年のマイナーチェンジではToyota Safety Senseを全車標準装備して安全性の強化も果たしています。

150プラドシリーズ[2009年]

2009 プラド “150”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

4代目150系プラドは現行モデルであり、ハイラックスサーフとシャシーを統合。

国内販売はロングホイールベースのみで、ショートホイールベースは海外販売専用モデルとして継続されています。

エンジンやサスペンションの改良のほか、低速でオフロード走行を支援する『クロールコントロール』やオフロード走行のための運転支援システム『マルチトレインセレクト』が搭載されました。

70シリーズ[2014年]

2014 “70”系 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

2014年8月25日、70系の発売30周年を記念して、70系の復刻モデルとなるバンとピックアップの2モデルが登場しました。

エンジンは、V6・4.0Lの1GR-FE型にアルミ製シリンダーブロックと吸気効率を高めるVVT-i、ACIS(2段階可変吸気システム)を採用。

『平成17年基準排出ガス50%低減レベル(☆☆☆)』をクリアしています。

しかし、2015年7月26日以降の生産車両は新保安基準に適合できなかったため、わずか1年のみの限定販売でした。

300系ランドクルーザーはどうなる?

200系ランクルは2007年に発売され、すでに12年が経過しています。

おそらく世界中のユーザーが現行モデルで満足しているかと思われますが、排ガス規制が年々強化されており、2020年に導入されるユーロ5ではさらに厳しくなる方向です。

そのため、そろそろ次期モデル300系(仮名)へのフルモデルチェンジが行われることが予想されており、2020年秋に発表されることが有力視されています。

エンジンはレクサスLSに搭載されている3.5リッターV6ツインターボエンジン『V35A-FTS』と、モーター・バッテリーを搭載したハイブリッドが有力。

また、海外仕様では4.5リッターV8ディーゼルターボの搭載もありえ、トヨタ製プレジャーボートに搭載されている1VD-FTV型ではないかと一部で噂されています。

フレームはTNGAプラットフォームではないかと言われていますが、伝統のラダーフレーム構造を継続させないと、ランクルユーザーが納得しません。

そのため、ランクルはトヨタのトラック部門に相当する日野自動車のラインで製造されているため、300系は現行ラダーフレームの進化版になると考えられます。

来年の2020年秋であれば、ランクルが最も販売されている中東が舞台のドバイモーターショー(11月開催)での世界初公開が有力ではないでしょうか。

まとめ

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ランクルは氷点下30度の極寒の地や、世界で最も気温が高い熱赤道地帯まで、どんなに過酷な状況下でも走れる頑丈さを持っており、ランクルでなければ走破できないとされる道もいくつか存在します。

68年かけて積み重ねてきた実績とユーザーからの信頼性は、他メーカーにはない唯一無二の存在であり、今後も世界中の道を走り続けます。

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